2017-05

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SPRING WALTZ 第9回アンケート

mkmさまより、7月25日にこのアンケート原稿を頂いていたのですが、その頃はドヨン王子の来日を控えておりましたので、このアンケートをアップしてもその後の来日ニュースで埋もれてしまってはと、ずっと大切に保管しておりました。

mkmさまも3週間振りに東京にお戻りになりましたので、ここで「春のワルツ」の復習もかねてアンケートについて思うところがございましたら、お答えください。

どうぞよろしくお願いいたします。
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久々の「お題」でございます。暑い最中ですから、ノンビリゆっくり考えて、何かのヒントをいただけたら嬉しく思います。我が家も夏休み中の子どもがいますので、「続き」にとりかかれるのは8月下旬になると思います。ゆっくり考えていただいて、何か思いつかれたらいつでもコメントお願いいたします。

① 第11話でフィリップが「君は全部持ってる、family, mother, father,piano,そして今度は……」という場面がありました。それに対してチェハは「全部他人のものだと言ったらどうする?」って返しましたよね?
  
両親が「他人のものだ」、というのはわかります。でもピアノはあなたのものじゃない?ってあの時私は思いました。亡くなった本当のチェハが生きていたとして、今のチェハのような演奏家になれていたかどうか?

「十(とお)で神童、十五で天才。二十過ぎれば○○の人」なんて言葉もあります。たとえ最初はチェハの意志に関係なく習わされたにしても、「カリスマピアニスト ユン・ジェハ」になれたのは、間違いなくチェハ自身の努力の賜物だと思うんですが、ピアノも含めて「全部他人のもの」と言ったチェハの気持ちってどんなものだったのでしょう?

② 先日、第14話の感想のところでも書きましたが、ピアニストになること、そしてピアニストであり続けること、についてチェハはどう思っていたのでしょう?

最初は自分の育ちにコンプレックスも持っていたと思うんです。(まともに学校にも行っていない。ピアノを習い始めたのも遅かった。本当のチェハじゃない。 etc)でも、コンクール入賞、音大合格で彼自身の実力が認められて、少しずつ自信をつけていったとは思います。で、音大に入ったら、後は演奏家を目指すしかないんだろうな、と思うんです。

ピアノは好きだったし、ピアニストになるのも嫌じゃなかった。これは間違いないと思います。ただ、どこまで彼自身がピアニストになりたい、という気持ちを持っていたかはわからないんです。チェハ自身がピアニストになりたいと心から思ったのか、ピアニストになるのも悪くないと思ったから(または、他に見選択肢がなかったから)、敷かれたレールの上を走り続けたのか、どちらでしょうね?

コンサートでは聴衆ににこやかな笑顔を向けていますから、自分の演奏を聴いてもらうのはうれしいことだったんだろうと思うんです。ただインタビューなんかでは「プライベートな質問はお断り」でしたから、マスコミとのお付き合いは嫌いだったでしょうね。

ここのところでの方向性が決まらないと、ここから先が進められません。私もゆっくり考えますが、ご意見お待ちしています。よろしくお願いします。

mkm

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お待たせいたしました!-- by ベルーガちゃん

きゃ~! やっとやっとベルーガちゃんから原稿が届きました!
さぁ、みなさま、心の準備はよろしいですか?
それでは「妄想!チェハのロスト」をお楽しみください。

ありがとうねぇ!ベルーガちゃん!!!
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チェハは青山島にいた。たしかに青山島の菜の花畑にいた。
むせ返るような甘い香りの中、菜の花をかき分けてウニョンを探していた。
「ウニョン、どこにいるの?お願いだから僕の前に現れて!ウニョンお願いだから・」
やっと見つけたウニョンは少女のままだった。
「ウニョン!」大きな声でチェハは叫んだ。
振り向いたウニョンは泣いていた。大きな瞳から大粒の涙をぽろぽろこぼして・・・
「ウニョン!」

チェハはそこで目を覚ました。体中、汗でぐっしょり濡れていた。
視界に入ってくるものに見覚えがなかった。光の射すほうに目を向けると、ベランダでタバコを吸っている女性の姿が目に入った。
「チャン・ミンユ!」
チェハはやっと我に返り慌てて上半身を起こした。昨晩の飲みすぎた見返りの頭痛はかなりひどく、めまいすら起きてくる状態だった。
チェハは部屋を見回してみた。広いベッドルーム、重厚な家具、隣の部屋には白いグランドピアノが置いてあるのが見えた。
チェハの状況を把握したミンユが部屋の中に戻ってきた。
「お目覚めのようね、ユン・ヂェハ君。」
化粧気のないミンユの顔は、また一段と綺麗だった。そんなことを思う自分は不謹慎だともチェハは思った。
「ここは?」ばつが悪そうに尋ねるチェハ。
「パパがウィーンに来たときに滞在するマンションだから、気をつかう必要はないわ」
「僕はいったい・・・」
「何も覚えてないの?」ミンユは呆れた顔でチェハの顔を覗き込んだ。
昨夜・・・長いkissのあと二人でタクシーに乗り込んだ。それから・・・マンションに着いた。あとは・・・甘い香りの中ミンユに導かれるまま闇の中へ堕ちていく感覚・・・
そこまで思い出したとき、チェハは顔から火が噴き出しそうだった。
「ちょっとは思い出したの?ふふっ」ミンユの笑い声は余計にチェハを傷つけた。
この場でミンユに何を言ったらいいのか、どう行動すればいいのか、今のチェハには分からなかった。
「僕はどうすれば・・・」チェハはやっと言葉をしぼり出した。
「えっ?私はあなたに何も望んだりしないわ。これからどうする?シャワーでも浴びる?それとも早く帰りたい?服はクローゼットの中にあるし、タクシーは下に行けばいくらでも拾えるわよ。それとも・・・私にもっと興味がある?」
チェハはとにかくこの場から1秒でも早く消えたかった。クローゼットから洋服を取り出し身支度を整えた。どんな言葉をかけて帰ればいいのかも分からず、一応、後ろを振り返った。
ミンユは何か思い出したように、「そういえば、ウニョンって誰?かなりうなされていたけど」
「えっ!」チェハはミンユの口からその名前が出ることに不快さえ感じた。
「興味があるわけじゃないから答えなくてもいいわよ。じゃ、ステキな夜をありがとう。ユン・ヂェハ君。」
チェハはすべての弱みを握られてしまったようで、自分が本当に情けなかった。
混乱したまま玄関のドアを開けようとしたとき、優しく悲しいピアノの調べがかすかに聞こえてきた。ミンユのイメージとは違うピアノの調べにチェハは耳を疑った。

タクシーから降りたチェハは、いつもの自分に戻らなければと大きく深呼吸をした。チスクには絶対に知られたくないと思った。
玄関を開けると、予想通り心配した顔のチスクが出てきた。
「チェハ、どうしたの、連絡もしないで外泊だなんて。フィリップに連絡しても一緒じゃないって言うからとても心配したのよ」
「お母さん、すみませんでした。昨日の夜はつい飲みすぎてしまって連絡ができる状態じゃなかったんです。それで友達のところに泊めてもらったんです」
「これからはちゃんと連絡してね。本当に心配したんだから・・」
「これからは気をつけます。でも、もう子供じゃないんだからあまり心配しないでください。疲れたので少し休みます。」
チェハがチスクの横を通り過ぎるとき、香水の甘い香りがかすかに漂った。チスクはチェハの身に何かが起きたのだと敏感に感じ取っていた。
チェハはシャワーを浴びながら、男としての責任、プライド、そして自分の不甲斐なさについて考えていた。こういうときフィリップならどうするんだろうか・・・

それから数日たって、チェハがキャンパスの歩道をフィリップと歩いていると、チャン・ミンユがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。チェハはかなり動揺し思わず立ち止まってしまった。
「チェハ、チャン・ミンユ先輩だぜ!今日も違う男と一緒だ。」フィリップはチェハの肩を叩いた。
チェハは覚悟を決めていた。ミンユに何を言われても男としてちゃんと対処しようと。
やや緊張した面持ちでまっすぐ前を見つめてミンユを待つチェハ。
その瞬間はスローモーションのようにさえ思われた。ミンユの長い黒髪の一本、一本が風になびくのが分かるかのように・・・
しかしミンユはチェハを見ることもなく、気にするわけでもなく、今日の男との会話を楽しみながらと通り過ぎて行ってしまった。
「チェハ、ミンユ先輩の演奏を聴いたことがある?すごく情熱的で激しいんだ。そしてあんなに美人だろう、一晩だけでもいいから遊んでもらいたいよ!」本気ともとれるフィリップの冗談。
その瞬間、チェハの体の緊張が一気にほぐれていくのが分かった。何か吹っ切れたように苦笑いしながら前に歩き出すチェハ。
フィリップがチェハのその変化に気づいた。
「あれ、チェハどうしたの、その笑顔は・・・。まさかミンユ先輩と何かあったわけじゃないよね。隠さないで教えろよ~」
チェハはフィリップの言葉に救われた。そして、ミンユの香水の香りが変わっていたことにも・・・
確実に大人へと成長をしていく二十歳のチェハの経験・・・

                                      by ベルーガ

~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~

ただ単に悪いお姉さんに遊ばれただけ?と思われた方もいらっしゃるかも・・・^^;
私もいろいろ考えがあっての作品でしたので、あとで説明いたしますね^^v
                           と、ベルーガちゃんが言ってました。

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「SPRING WALTZ 7」--by mkmさま

SPRING WALTZ 7  -ドラマで描かれなかった空白の15年-

 チェハは辛かった。たまらなく苦しかった。
自分がチェハとして生きることが誰かを騙すことだなんて、今まで考えたこともなかった。しかし今日、自分はカン・シウォン氏の前で本当のチェハのふりをした。それはカン氏を騙したことに他ならなかった。ウィーンに来て出会ったのは本当のチェハを知らない人ばかりだったから、ユン・ジェハを名乗っても別に罪の意識を持つことはなかった。自分の中で、イ・スホは死んだのだ。チェハとして生きるしかないと心に決めて、この五年間生きてきた。辛い記憶は消えることがなかったし、自分の育ちに対するコンプレックスもなくなりはしないけれど、コンクールで認められたことで、これからの生活にわずかでも希望が感じられるようになっていた。だが自分がユン・ジェハでいることで、この先どれだけの人を騙さねばならないのだろう。それに今回はカン氏の来訪が予めわかっていたが、生前のチェハを知る人と突然出会うことだってあるかもしれない…。
思い余ったチェハは、次の日の晩ミョンフンの書斎を訪ねた。
「お父さん、お話があります。」
「何だい?」
「もう嘘はつきたくありません。みんなに本当のことを言ってください。僕は本当のチェハじゃないって。本当のチェハは死んだって。」
「どうしたんだ、急に…?」
「辛かったんです。昨日、カン・シウォンさんの前でチェハのふりをしていて。お会いしてみてカン・シウォンさんが子どもの頃のチェハを本当に可愛がっていらっしゃったことがよくわかりました。カン・シウォンさんの優しいお気持ちを僕はお受けすることはできません。僕はチェハじゃないからです。お父さんもお母さんも本当はお辛かったんでしょう?」
「今はお前が私たちの息子だ。これからもずっとな。だからこれでいいんだよ。」
「でも…、」
「それによく考えるんだ。本当のことを話したらお前の気はすむかもしれないが、母さんはどうなる? お前を失ったら母さんはまた…。」
「僕が必要なら、僕はずっとお二人の息子でいます。僕には他に行くところはないんですから…。韓国に帰りたいとも思いません。でも…、死んだチェハの代わりじゃなく、例えば養子にしていただくわけにはいかないでしょうか。人を騙して生きていくのは嫌なんです。」
 チェハは必死にミョンフンに訴えた。日頃、口数の少ないチェハの言葉をミョンフンは黙って聞いていたが、やがて静かに口を開いた。
「お前を私の養子にするには、いろいろ難しいことがあるんだよ。」
「難しいこと、ですか?」
「お前がチェハじゃない、と言ったとすると、じゃあお前は誰だってことになるだろう。でもな、それは正直に話せないんだ。五年前に私がお前を連れて来たことは法的には誘拐だ。少しの間のつもりだったとはいえ、きちんとした手続きをしたわけではないからな。お前のお父さんが韓国でお前のことを探していたらごまかしようがなくなるし、このことがばれたら私は刑務所に送られ、お前は韓国のお父さんの下に帰される。そうしたら母さんはどうなる?」
「……。」
「お前の気持ちはわかるさ。でも今のままでいるしかないんだよ。この家庭を守るためには。」
 チェハは黙ってミョンフンの部屋を出た。そのまま自分の部屋に戻る気分になれず、チェハは家を出て、あてもなく歩き始めた。頭の中ではミョンフンの言葉が何度も繰り返され、チェハに重くのしかかっていた。……誘拐…刑務所送り…お前のお父さん……。実父チョンテが今どこでどうしているかは知る由もなかったが、仮に自分がここにいることをチョンテが知ったなら、ミョンフンにどれほどの迷惑をかけるかわからなかった。とんでもない大ぼらを平気で吹くチョンテのことだ。自分が息子のスホを捨てたことなど忘れたように、スホがいなくなってどれだけ心配して探し回ったか、言い立てるに違いない。そして恐らく警察に訴える代わりにミョンフンに付きまとい、金をせびるに違いない。チェハはそんなチョンテの姿を想像しただけで寒気がした。そして今まで自分を育ててくれたミョンフンに父のことで迷惑をかけることはできないと思った。五年前、自分がミョンフンに付いてきたのはウニョンに手術を受けさせるためには他に方法がなかったからだ。あの時はすぐに韓国に帰れると思っていたのに、結局自分はチェハとして生きるしかなくなった。全部父さんが悪いんじゃないか。父さんがウニョンの手術代を盗んで逃げたからこんなことになったんじゃないか。父さんの、口から出まかせの嘘が大嫌いだったのに、父さんのせいで自分は一生たくさんの人を騙して生きるしかなくなったんじゃないか……。
 いつの間にかチェハはドナウ川のほとりを歩いていた。何も考えられなくなったチェハは、頭を抱えてそこに座り込んだ。

 気が付くと、チェハは自分のベッドに寝かされていた。そしてチスクとフィリップが心配そうに自分を覗き込んでた。
「チェハ、チェハ、気が付いた? 大丈夫?」
「お母さん。フィリップもどうして?」
「お前のことを心配して、学校が終わってすぐに来てくれたのよ。気分はどう? お腹はすいてない?」
「いいえ。でものどが…。お母さん、水をください。」
「ちょっと待ってね。すぐに持って来るから。フィリップ、チェハをお願いね。」
 チスクが出て行くと、フィリップは心配そうに口を開いた。
「何があったの? ゆうべ遅くおじさんが真っ青な顔して寄宿舎に来られて、“チェハがいなくなったけど、ここに来てないか?”って。学校も休んだから気になって来てみたら、ドナウ川のほとりで雨に打たれて倒れてるのを警官に発見されたっていうし…。どうしてそんなところまで行ったの?」
「ドナウ川? 僕が?」
「覚えてないのか?」チェハは頷いた。
「呆れた奴だなあ、散々心配かけて。どうしたの? 昨日から何だか様子がおかしかったけど、おじさんと何かあったの?」
「別に。ちょっと一人で考えたいことがあって…、それに外の空気も吸いたくって…、それでちょっと外へ出ただけだよ。」
「それにしたって、上着くらい着て行けよ。もう夜は寒いんだから。」
「ああ。ごめんよ、心配かけて。」
そこへチスクが戻って来て、チェハに水と温かい飲み物、フィリップにはお茶とお菓子を運んで来た。
「おばさん、僕はもう帰りますから。どうぞお構いなく。じゃあね、チェハ。早く元気になって。」

 フィリップが帰ると、チスクはチェハを掛け布団ごと抱きしめた。
「チェハ、良かった。どれだけ心配したか…。もうどこへも行っちゃだめよ。母さんを一人にしないで。お前がいないとね、母さんは…、母さんは生きていかれないのよ。」
 自分を抱きしめて身を震わせているチスクを見て、チェハは胸が締め付けられた。本当のチェハが亡くなった時、二度も手首を切ったと聞かされたこと、そしてソウルの病院のベッドにうつろな目をして横たわっていたチスクの姿をチェハは思い出した。
「本当にこの人はチェハがいないと生きられないんだ…、たとえ偽者であっても…。」
これまでの五年間、食事のこと、身の回りのこと、学校の勉強にピアノの練習、行儀作法や言葉づかいなど、日々の生活の細々とした部分にまでチスクは気を配り、自分の世話をしてくれた。時に煩わしいと思うこともあったが、彼はそんなチスクの姿に亡きチェハへの深い愛情を感じていた。彼には実の母の記憶がなかったから、母と呼んだのはチスク一人だったし、実の子どものように何不自由なく育ててもらっていることを、ありがたいとも思っていた。だから身代わりであっても、自分を一心に愛し世話をしてくれる人を悲しませてはいけないのだと思った。これ以上自分のせいで誰かを不幸にするわけにはいかない……。彼は小さいウニョンの泣き顔を思い浮かべた。
「すみませんでした、お母さん。ご心配をおかけして…。」
 チェハの言葉に、チスクはチェハの顔をのぞき込んだ。
「チェハ、もうどこへも行かないでね。母さん、お前のためだったらどんなことだってしてあげる。だからずっと一緒にいてちょうだい。お願いだから。」
 チェハは黙って頷いた。チスクはチェハを抱いたまま、しばらく泣き続けた。

 夜になってミョンフンが帰って来た。
「ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」
部屋まで様子を見に来たミョンフンにチェハは素直に頭を下げた。
「無事で良かったが、いったいどこへ行くつもりだったんだ?」
「別に…。ただ少し一人で考えたかっただけです。」
「母さんがお前がいないことに気付いて、二人で近くを探したんだが見つからなくてな。そのうち雨が降り出して、母さんがひどく不安がったので、止むを得ず警察に捜索を頼んだんだ。気をつけてくれよ。無事だったから良かったが、おおごとになれば私の職場にも迷惑がかかることになるからね。」
「本当にすみませんでした。」
「まだ熱があるんだろう? ゆっくり休んで早く直すんだ。もう母さんに心配かけるんじゃないぞ。」
 その晩もチスクはずっとチェハに付き添っていた。もう大丈夫だから休んでくれるように頼んでも、チスクは聞き入れなかった。夜中にふと目を覚まして、自分の手を握ったまま寝入ってしまったチスクを見た時、やはり自分は辛くてもここでチェハとして生きるしかないのだと思った。今の自分を必要としているのは、この人だけだから…。

 翌日もチェハは学校を休んだ。熱は下がっていたが、まだだるさが残っていた。夕方、またフィリップがやって来た。
「やあ。熱が下がったって?」
「うん。ごめんね、心配かけて。」
「ううん、いいさ。なあ、チェハ。もし何か困ってることがあるんだったら言ってくれよ。僕はいつも君に愚痴をこぼしては励ましてもらってるのに、君は何も言わないだろう。僕で良かったら何でも話して。相談にのるからさ。」
「ありがとう。でもそんなんじゃないんだ。フィリップは一人になりたくなること、ないの?」
「う~ん、それはあるよ。寄宿舎じゃ四人部屋だしね。たまにこっそり抜け出したりするよ、何人かで共謀してさ。そうか君は一人っ子だから、かえって逃げ場がないのかな?」
「かもね。」
「逃げていく所があればいいんだけどなあ…。でも、さすがに寄宿舎に泊めてやるわけにもいかないしなあ…。」
「いいよ、無理しなくって。」

 チェハの家を出たフィリップは、チェハって本当に不思議な奴だと思った。普段は物静かなくせに、たまに突拍子もないことをやらかすんだ…。
 チェハとは馬が合うというのだろうか。初めて出会った時から何かひかれるものを感じていたし、クラスメイトから嫌がらせを受けていた時も、チェハには自分の境遇を話すことができた。その後も父親とぶつかって腹が立ったり悔しかったり寂しかったりするたびに、チェハにはつい話してしまうのだが、そんな自分の気持ちをチェハはいつもちゃんと受け止めてくれて、短いがおざなりではない言葉をかけてくれるのだ。優しい両親の下で何不自由なく育てられたチェハが、どうして自分の気持ちに共感してくれるのかはわからなかったが、チェハという友人を持っていることをうれしく思っていた。でも、すごく頼りになるようでいて、チェハは突然人が変わったようになることがあり、つきあいにくいと思うこともあるのだ。つい先日、学校の友だち数人と街を歩いていた時も、チェハとしては上機嫌でいつもより口数も多く楽しそうにしていたのに、急に顔色が変わったかと思うと、目に涙を浮かべて黙り込んでしまった。そして「用を思い出したから」と一人で先に帰ってしまった。別に何かが起こった訳でも、誰かがチェハをからかったり、ひどいことを言ったりした訳でもなかった。ただ兄と妹らしい少年と少女が鬼ごっこをするようにじゃれ合って走りながら、彼らを追い越して行っただけだった。別の時には急に不機嫌になって押し黙ったり、ピリピリしていて近寄れないこともあった。でもたいてい翌日にはいつものチェハに戻っていた。
「人間、誰でも良い所も悪い所もあるんだし」、とフィリップは思っていた。「それにやっぱり僕はチェハに出会えて幸せなんだし。」

 何とか元気を取り戻したチェハは、翌日からまた学校へ行くようになり、フィリップと一緒に音大を目指して努力を続けた。あの一件以来、チェハの演奏に一層深みが増してきたことをフィリップは感じていた。「負けられない…。」 さすがのフィリップも絵画教室やバスケットボールクラブは休んで、ピアノに専念するようになった。
 そして迎えた翌々年の春…。

「では、お父さん、お母さん、行ってきます。」
「ああ、行っておいで。落ち着いてしっかりな。きっと大丈夫だから。」
「ちょっと待って、チェハ。これを持って行きなさい。」
 チスクが持ってきたのは、飴と餅一袋ずつだった。
「お母さん、今日は実技試験ですよ。飴や餅ではかえってベタベタして失敗しそうですから。」
「そんなこと言わないで持って行きなさい。志望校にくっつけますように、っていうことなんだから。できることは何でもやらないと。」
「チスク、いい加減にしなさい。チェハが困ってるじゃないか。」
 今日はチェハのウィーン芸術大学の入学試験だった。筆記試験には合格し、これから実技試験が行われるのだ。結局断りきれずに、チェハは飴と餅をカバンに入れて試験会場に向かった。途中で待ち合わせたフィリップが、
「今日は何、持ってきたの?」
と、チェハのカバンを覗き込んだ。筆記試験の時は、他にフォークや鏡まで持たされており、韓国の風習を知らないフィリップは目を白黒させたのである。
「今日は、これだけ。」
と、飴と餅を見せると、フィリップは、
「じゃあ、僕もあやかろうっと。」
と、飴を一つ口に入れて、ニコッと笑った。
 縁起かつぎのご利益かどうかは定かでなかったが、飴と餅とで二人の緊張感が幾分ほぐれたのは確かなようで、チェハとフィリップはそろって合格することができた。
「やったね。」
「うん。夢みたいだ。」
「次の目標は4年後のウィーン国際ピアノコンクールだ。ここで優勝したらピアニストとして活躍する道が開かれるんだ。」
 もちろんチェハもそのコンクールのことは知っていた。世界をまたにかけて活躍しているピアニストを何人も輩出しているそのコンクールは、自分には手の届かない世界のように思っていたが、ウィーン芸術大学に入った以上、自分もそれを目指すべきだと思った。人生の扉がまた一つ開かれたことをチェハは感じていた。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆

 カン・シウォン氏の登場を思いついた時、多分チェハは嘘をつきたくないと思うだろうなとは予想していましたが、ここまでチェハの葛藤が大きくなるとは思っていませんでした。それだけに自分も途中で辛くなって正直どうしようかと迷いましたが、これでチェハとミョンフン、チスクとの関係がはっきりするかと思い、敢えてそのまま続けました。
12歳の決意のまま15年間生きるより、成長の過程で物の見方、考え方が変わるほうが自然かもしれないとも思ったのです。その結果、チェハに新たな重荷を背負わせることになってしまいましたが…。結局、チェハとミョンフン、チスクがそれぞれの思いで家庭を守るために重ね続けた無理が、これからドラマの中で爆発しようとしているのでしょう。
 チェハが大学に入って、「空白の15年」も(少し足りませんが)ほぼ折り返し点に来ました。ここでしばらくお休みをいただいて、これからのストーリーをゆっくり考えて、組み立てていきたいと思います。
 また皆さんにはアンケートその他でご協力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、何かこれからの展開についての提案などありましたらいつでもお知らせください。
mkm

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「SPRING WALTZ 6」 最後にお願いがあります。

SPRING WALTZ 6  -ドラマで描かれなかった空白の15年-

 コンクールを終えると休む間もなくチェハはロンドンへと向かい、昨年と同様に一週間のレッスンを受けた。コンクール入賞の経験はチェハを確かに変えた。一言で言えば自信がついた。少なくとも幼少の頃からピアノを習ってきた参加者を何人も負かしたのだ。実力は練習してきた時間の長さに必ずしも比例するものではないのだとチェハは思った。そしてコンクール会場で出会った老紳士の「感動しました」という言葉がチェハの心に希望の灯をともしていた。自分の演奏の何が老紳士を感動させたのかはわからなかった。でもウィーンに住むようになって足を運んだ数々のコンサートでチェハ自身、幾度も感動を味わっていた。心の底から感動することで世の中がそれまでと違って見えるようになったり、自分の中に新しい力が湧いてくるのを感じることがあったが、自分の演奏で他の人にそれを感じてもらえたら、それは素晴らしいことだとチェハは思ったし、それまで以上に自分の音楽の表現を大切に練習に励むようになった。
 そんな頃、チェハ一家にちょっとした事件が起こった。ある日、仕事から帰ってきたミョンフンが言いにくそうに口を開いた。
「なあ、チスク。カナダで一緒だったカン・シウォンさん、覚えているだろう? 私の二年先輩の。来週、出張でウィーンに来られるんだ。それでお前やチェハにも是非会いたいって電話があってね。どうしたものかと思って…。」
「まあ、カンさん、懐かしいわね。家族ぐるみでお世話になったもの。カンさんのお宅のスウォンとチェハは仲良しだったしね。せっかくだから、うちに食事に来てもらいましょうよ。」
「そんなこと言ったって、お前どうするんだよ、あの子のことは?」と、ミョンフンはチェハの部屋の方に顔を向けながら入った。チェハはピアノの練習をしていた。
「今はあの子がうちのチェハよ。これからもずっと。だからお客様にもちゃんと会わせなくちゃ。」
「でもどうするんだ。カナダ時代のことはあの子は何も知らないんだ。カンさんに会えば昔のことは絶対に話題に上がるぞ。」
「大丈夫よ、私に任せて。私がうまくやるから。」

 夕食が終わってから、ミョンフンはチェハに言った。
「チェハ、来週カナダにいた頃の知り合いが見えることになった。父さんと同じ職場の先輩でカンさんとおっしゃる方だ。カンさんのお宅にはお前と同い年のスウォンという男の子がいて、五歳から七歳くらいまで、お互いの家を行き来してはしょっちゅう一緒に遊んでいたから、お前にも是非会いたいと仰るんだ。うちに食事に来てもらうことにしたから、その日は必ず家にいてちゃんとご挨拶するんだ。いいな。」
ミョンフンは自身の動揺や不安を隠すかのように強い口調で言った。
「勿論ご挨拶はしますが…、でも一緒に食事もするんでしたら、どうすればいいんですか? 僕はカン・シウォンさんのこともスウォンのことも何も知りません。」
「大丈夫。母さんがついてるわ。決してお前を困らせはしない。大事なことはちゃんと教えてあげるから。お前の部屋に古いアルバムがあるでしょう。全部持ってらっしゃい。」
チェハが言われるままにアルバムを持って来ると、チスクはチェハが五歳頃の写真を探し出して説明を始めた。チェハとスウォンは仲良しで一緒に小学校に入学し、学校でも同じクラスだったこと。チェハはその頃既にピアノを習っていて、スウォンは野球に夢中だったこと。家が近かったので、二人はよく互いの家に行って一緒に宿題をしたり、スウォンの姉や弟とトランプをしたりテレビを見たりして過ごしたこと。休日には家族そろってドライブやハイキングに行ったこと。チェハが七歳の時にミョンフン一家は帰国し、数年後再びカナダ勤務になった時にはカン一家が入れ違いで帰国したので、チェハがカン氏に会うのは七歳の時以来ほぼ十年ぶりになること、等々。チスクは写真を見せながら、これがカンさん、これが奥さん、これがスウォン、これはバンクーバーの公園などと詳しく話してくれた。
「今、話したくらいのことを覚えておいてくれたらいいわ。後は父さんと母さんが何とかしてあげる。大丈夫よ。」
「そうだ、十年も前のことなんだから、忘れてたって不思議はないさ。何と言っても子どもの記憶なんだから。」

「子どもの記憶、か…」 部屋に戻ったチェハは昔のことを思い出した。スホだった頃の最初の記憶は、酒を飲みながら仲間と花札をしている父を部屋の隅でじっと見つめていたことだった。ロクに働きもしないで、酒を飲んでは博打をする父と宿を転々としながら暮らしていたある日、父が警察に引っ張られてしばらく帰って来られなくなったのが、スホが小学校一年生になった冬、七歳の時だった。金に困った父が仲間から金を騙し取ろうとして訴えられたのが事の起こりだったが、別の仲間からのタレこみで余罪がいくつかばれてしまい、父はなかなか返してもらえなかった。その頃父とスホが住んでいた安アパートの大家さんは親切な人で、一人になったスホの面倒を見てくれた。
「可哀想にね。父さんはバカなことやって捕まってしまったけど子どものお前に罪はないんだから。スホや、おばさんの仕事を手伝ってくれるかい? 学校から帰ってからでいいから。そうしたらうちに泊めてあげるし、ご飯も食べさせてやるからね。」
七つの子どもにできることはたかがしれていた。でも自分は大家のおばさんの親切がありがたくて、アパートの掃除や使い走り、子守、食事の後片付けなど、自分にできることは何でも一生懸命やった。とにかくここを追い出されたら野宿するしかないのだ。そんな自分を哀れんでか、たくさん仕事をした日には大家のおばさんが一日に百ウォン、二百ウォンくらいではあったがお駄賃をくれることもあった。そうして懸命に父の帰りを待っていたのに、一ヶ月ほどたって戻って来た父は自分に詫びるどころか、自分が何とか自分の口を養い、わずかながら小遣いをもらっていたことに目を付けた。そして小学校二年生になる頃には学校にも行かせてくれなくなり、自分は働きづめの子ども時代を過ごしたのだ。学校が終わったらピアノの練習をし、友だちの家に遊びに行った幸せな少年のふりができるだろうか? チェハは気が重かった。できることなら逃げ出したかったがミョンフンとチスクの言いつけは絶対だった。「父さんと母さんが何とかしてあげる」というチスクの言葉を信じるしかなかった。

 翌週の火曜日、ミョンフンはカン・シウォン氏を伴って帰宅した。
「よくおいでくださいました。本当にお久し振りですこと。さあどうぞ、お入りください。」
「やあ奥さん、全然お変わりになりませんね。お元気そうで何よりだ。君がチェハかい? すっかり大きくなったね。お父さんを追い越しちゃったじゃないか。うちのスウォンなんか、頭一つ分くらい小さいんじゃないかな。それに君、だんだんお母さんに似てきたね。小さい頃はお父さんそっくりだったのに。」
「は、はい。あの、スウォン君はお元気ですか?」
カン氏は懐かしそうにチェハの肩を抱かんばかりに話しかけるので、チェハはどきまぎして、ついしどろもどろになってしまった。でもカン氏の大らかで温かそうな人柄に触れて、幾分ほっとしたのも事実だった。
「さあさあ、いつまでもそんな所で立ち話をしていないで、あなた、こちらへお連れしてくださいな。」
チスクが奥から呼びかけ、ハラハラしながら成り行きを見守っていたミョンフンは、二人を促して客間へと案内した。
 食事の間、カン氏はチスクの手料理に舌鼓を打ちながら、ミョンフン相手に最近の韓国の様子や外交問題について語り合っていたが、ふとチェハに目をやって、
「それにしても早いものだね。君がうちに遊びに来てたのは、まだこんなに小さい頃だった。つい昨日のことのように思えるのに、この立派な青年を見るとやはり十年たったんだと思うね。チェハ、おじさんちにいた犬を覚えてるかい?」
「えっ? ええ…」
「そうそう、初めてお宅に伺った時、いきなり飛びつかれてチェハったらベソをかいたのよ。」すかさずチスクが引き受けた。
「そんなこともありましたね。あの頃のチェハと同じくらい大きな犬でしたから。」とミョンフンが続け、二人の話を聞きながら、チェハは情けなさそうな笑顔を浮かべて頭をかいた。
「ジャックっていいましたね。二度目からはジャックも慣れて飛びつかなくなって、チェハも少しずつジャックと遊ぶようになったのよ。」
「でも、うちのスウォンと二人でジャックを散歩に連れて行くって出かけたのはいいが、ジャックが二人を振り切ってどこかに行ってしまって捕まえられなかった時は、二人とも可哀想なくらいしょげて帰って来たもんだ。なあ、チェハ」
「えっ?」ミョンフンとチスクは思わず顔を見合わせた。
「いや、これはチェハが一人でうちへ泊まりに来た時のことだよ。さては、バツが悪くてお父さんやお母さんには黙ってたんだな? それにしても二人とも何をそんなに慌ててるんだい?」
「いえ、別に。物忘れがまたひどくなったかと思いましてね。そうだ…、チェハのピアノの発表会に皆さんで来ていただいたこともありましたね。あの時チェハは何を弾いたんだったかな?」
「子犬のワルツです。」 チェハは短く答えた。
「そう、チェハはまだ小さかったのに本当に上手だった。見事だったよ。お父さんからコンクールのこと、聞いたよ。ウィーンは音楽を勉強するには本当に良い所だ。音大に進むつもりなのかい?」
「はい、そうしたいと思っています。」
「そうかい。しっかりやっておくれよ。音楽の本場でこうやって頑張ってるなんて、君は僕たちの誇りだ。おじさんもおじさんの家族も君のことをずっと応援しているからね。」
「あ、ありがとうございます。あの、練習がありますので失礼してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わないよ。君のピアノ、ここで聞かせてもらうとしよう。」
チェハは一礼して部屋を出た。
 チェハの背中を見送りながら、カン氏は静かに言った。
「でも本当に立派になったね。大人びた、と言うのかな。うちのスウォンなんかまだまだ子どもっぽいのに…。小さい時は本当に明るくて活発だったろう、チェハも? 何だかとても物静かになって、どことなく悲しさが漂っているような気がしてね。」
「そ、そうですか? 親は毎日見てるから、あまり違いがわからないのかもしれませんね。なあ、チスク?」
「そう言われてみればそうですねえ。年頃になってからは確かに家でもあまり話さなくなりましたわ。でも男の子って、そんなものかと思っていましたの。」
「そうだね、娘は家内とはいろいろ話しているようだ。私とはさっぱりだけどね。」

 カン氏が帰る時、チェハも見送りに出てきた。
「奥さん、ごちそうになりました。久し振りにお会いできて、本当にうれしかったですよ。じゃあチェハ、元気で頑張るんだよ。お里帰りする時は必ずうちにも遊びに来ておくれ。みんな待っているからね。」
「はい、ありがとうございます。どうぞ、お気をつけて。」
と挨拶しながら、チェハは心が痛んでならなかった。カン家の人々が待っているチェハは自分ではないのだ。

 一旦部屋に戻ったものの喉の渇きを覚えたチェハは、水を飲もうと台所へ向かった。しかしドア越しに聞こえてきたミョンフンの声に、チェハは思わず立ち止まった。  
「なあ、お前。久し振りに誰かとあの子の話をしたなあ。」
「えっ?」
「チェハだよ、小さかった頃の。いろんなことを思い出したし、私の知らなかったあの子の話も聞けた…。」
ミョンフンの声は心なしか震えているようだった。
チェハは足音を立てないように、自分の部屋へ戻った。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆

次回は、このカン氏訪問にからんだ事件が起こって、その後いよいよチェハの大学受験。フィリップと共に晴れて音大生となります。

で、恒例の皆さまへのお願いです。
① Nita ちゃまへ、
今回のお話のチェハの子ども時代は1980年代中ごろのことなのですが、この頃すでに Vancouver Aquarium はありましたか? また家族連れで遊びに行くようなところだとどんなものがあったか、もしわかれば教えてください。追加します。(書く前に聞けよって言われそうですね。実は急に思いついたんです。)

② naorin しゃまへ、
七つの子どものお駄賃に100ウォン、200ウォンって安すぎるかしら?
食と住を与えてもらってますから、大家のおばさんのほんの気持ちっていうつもりなんですが。

③ 問題は「これから」なんですが、大学に入ると学校でも家でもひたすらピアノの練習。フィリップと一緒に作曲・編曲の勉強。そしてコンクールを目指す。これに今ベルーガちゃんが頑張ってくれているファーストキスのシーンが入って、あと大学の仲間と旅行くらいはするかな? 
ピアニストになってからは、演奏活動の他、何を書きましょう? 韓国からのラブコールを断り続けることは入れるとして。それから第4話の舞踏会のシーンでイナに「CDは本当に興味がないんだ」って言ってましたが、オーストリアでチェハはCD出さなかったんでしょうか?(これ出さないと収入が大幅に減ると思うんですけど。コンサートでいくらお客さんが入るって言っても、ピアノのリサイタルだったらそんなに大きなホールは使いませんもんね? それに雑誌やテレビのインタビューくらいでは、タカが知れてますよね。)
“SPRING WALTZ 8” までは、私の頭の中にある程度できあがっているんですが、そこから後は「お先真っ暗状態」です。どんなことでも提案してください。よろしくお願いします。
このファミレスのお客様の中に、ウィーンや音大に詳しい方いらっしゃいましたら、ぜひぜひカミングアウトしてお助けくださいませ~!

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SPRING WALTZ 第8回アンケート

店長さんのソウル報告記に皆さん目を奪われていらっしゃることと思いますが、少しお知恵をお貸しくださいませ。

① 前科6犯というチョンテの罪状
   例えば、窃盗(ウニョンの手術代)、無銭飲食(これで捕まった時にカングがチェハに電話してきた)までは私にもわかるんです。他に何があるでしょう? 前科6犯=6種類の犯罪、ということでもないでしょうし、無銭飲食を繰り返してたかもしれないのですが。また、人殺しや強盗なんてのも多分ないと思うんですけれど。

② 学生時代のフィリップはお酒、飲めなかったという解釈でいいんですよね?
   第8話でウニョンと飲んで酔っ払ってエレベータの前で寝込んでしまったのをチェハが見つけて、「酒、飲んだのか?」って聞いてたし、ウニョンも「お酒飲めないなら、言ってくれればいいのに」って言ってたから、フィリップは飲めない人なのかな、と思ってましたが、第10話以降は結構飲んでるシーンがあります。だんだん飲めるようになったのかもしれないし、ここら辺で脚本家が変わったので辻褄が合わなくなっただけなのかもしれないんですが。
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みなさま、またコメント欄にお返事をお寄せくださいね。

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チェハのファーストキス!--by ペンネーム ベルーガさま

音楽大学ピアノ科2年のチェハとフィリップ
ウィーン市内の二人の行きつけの会員制クラブ
いつものように二人でカウンターで飲んでいると、入り口から賑やかな声が・・
ピアノ科4年、中国の資産家の娘、チャン・ミンユが数人の男と一緒に入ってきた。
その騒々しさにチェハの顔がゆがむ。
チ)静かに飲めないな。あれは誰?
フ)知らないの?4年のチャン・ミンユ先輩だよ。あの人にだけは気をつけたほうがいいよ。何人もの男が泣いてる。
軽くウェーブがかった長い黒髪、大きな黒い瞳、鼻筋のとおった美人である。スタイルもよく、グレーの光沢のあるワンピースは体のラインを強調していた。
不機嫌なチェハが視線を感じたのは、それから30分ほどたってからである。
空になったグラスをカウンターに置いて、何気なく後ろを振り返って見たとき、ミンユのあやしい上目づかいの目がチェハの視線をとらえた。
チェハは一瞬動揺を覚えたが、それが何であったのか、その時は分からなかった。

2週間後、同じクラブで・・・
いつものようにチェハとフィリップがカウンターで飲んでいると、今日はまた違う男数人とチャン・ミンユが入ってきた。黒地にスパンコールが映えるワンピースが妖艶である。
また騒がしい奴らが入ってきたとチェハは思った。
1時間ほどたった頃、クラスメートのシェリーがフィリップの隣に座ってきた。フィリップと意気投合したらしく、チェハはほとんど一人で飲んでいる状態であった。
フ)ちょっと彼女と出かけるから、今日は一人で帰ってくれる?
チ)勝手にどうぞ!
今日はいつもよりペースが速く、かなり酔ってしまっていることに気がついたのは、
フィリップが帰ったあとだった。
いつもはフィリップがタクシーを拾ってくれるのに、今日は自分で拾わなければならない。そんなことを煩わしく思いながらエレベーターのあるフロアへ。
少しふらつく足を支えるために壁に寄りかかっていると
「ユン・ヂェハ君、今日はかなり酔っているようね」と、ミンユが声をかけてきた
なぜ、僕の名前を知っているんだろう?と思ったが、その動揺を隠すために壁側に顔をそむけ無視するチェハ。
次の瞬間、ミンユの両腕がチェハの首に巻きついてきた。
驚きを隠せずミンユの瞳をにらみつけるチェハ。彼女はチェハの耳元に顔を近づけ、
「怖いの?」とささやく。
酒に酔ってはいるものの自分のプライドを守るため、大人ぶって鼻で笑うチェハ。
そして、ミンユのルージュで紅く彩られた唇がチェハの唇をとらえた。
冷たいミンユの唇の感触。チェハにとって初めての衝撃的なkiss。
チェハは甘い香水の香りに包まれ、彼女のリードに任せたまま、朦朧とした意識の中、体の中を電流が走っていくのを感じていた。

ペンネーム・・・ベルーガ
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ベルーガさま、チェハのファースト・キスの投稿、ありがとうございました。
ムフッ、ムフッとため息まじりに、この原稿の初読者になれたことをうれしく思います。
締め切りは7月7日と書いておきながら、すっかり忘れておりました。
他のお方もこの原稿に触発されて、書いてみたい思われたら、まだまだ受け付けますよ! お待ちしていま~す!

ありがとう、ベルーガさま。今夜はドヨン王子がこの20歳のチェハをどう演じるかを妄想しながら、うっとりしたいと思います。

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SPRING WALTZ 5  by mkmさま

  -ドラマで描かれなかった空白の15年-

 新学期が始まった。久し振りに学校に集まった生徒たちは、それぞれの夏休み中の思い出話に花を咲かせた。カナダを旅したペーターは、訪れた街やそこで見たもの買ったものについて得意そうに話していたし、家族や親戚と過ごした休暇の写真を見せ合う者もいた。チェハがいつものように聞くともなしに皆の話を聞いていると、フィリップがヨハンと連れ立ってやって来た。
「チェハ、久し振り!」
「やあ、ヨハン。元気だった?」
「うん。君も元気そうだね。ロンドンでのレッスンはどうだった?」
「うん、ためになったよ。君のバッハの研究は完成した?」
「まだまだ。やっとケーテン時代の途中まできたところさ。続きは少しずつ進めて、完成は来年の夏休みかな。」
「じっくりやればいいさ。ところでチェハ。今、隣のクラスの奴に聞いたんだけど、音楽のバウアー先生、体の具合が悪くてしばらく休まれるらしいよ。」
フィリップが話したバウアー先生というのは厳格な初老の教師で、自身はヴァイオリンの名手と言われていたが、年若い少年たちを教えるにはいささか不向きなタイプで、音楽を心から愛するチェハやフィリップも全く楽しめない四角四面な授業をする人だった。
「じゃあ、僕たちの音楽の授業はどうなるのかな?」
「さあね。高学年を教えているフィッシャー先生でもきてくれるといいんだけどね。寄宿舎の先輩の間でも評判いいよ。」
 そんな話をしているところへクラス担任がやって来た。そして連絡事項の一つとしてバウアー先生のことを伝え、当分の間シュナイダー先生(Fräulein Schneider)が代わりに教えることになった、と告げた。クラス担任が教室を出て行くと、少年たちは口々に話し始めた。 (注:Fräuleinは未婚の女性を表すドイツ語で、英語のMiss にあたる)
「Fräulein Schneider、だって! どんな先生だろう?」
「あんまり期待するなよ。この前だって、Fräulein ってすごく期待してたら、うちの母さんより年上の先生だったじゃないか。」
「やめてくれ~! 二度もそんな目に遭ったら、俺死んじまいそう…」
 その日の放課後、チェハとフィリップが久し振りに音楽室でピアノを弾いていると、見知らぬ若い女性がそっとドアを開けて入って来た。二人がピアノを弾く手を止めると、
「ごめんなさい、驚かせちゃったかしら。あなたたち、ユン・ジェハ君とフィリップ・ローゼンタール君ね。フィッシャー先生から、私が受け持つクラスにピアニストの卵が二人いる、ってお聞きしたから、ちょっと見に来たのよ。」
「えっ、じゃあ…?」フィリップは思わず上ずった声を上げた。
「ヘレーネ・シュナイダーです。どうぞよろしく。さあ、二人の演奏をもう少し聞かせていただけないかしら。」
二人は再び練習を始めたが、どうもいつものようにはいかなかった。彼らの学校は男子校であり、女の先生自体が少なかったのだが、このシュナイダー先生のような若い女性教師はいなかったのである。フィリップは緊張のあまり真っ赤になっていたし、チェハも何だか顔が火照ってきたようで落ち着かなかった。こんなに若々しくてきれいな人と一緒になることはなかったからである。チェハはまともに先生の顔を見ることもできず、ひたすらピアノに向かっていた。
 翌日にはシュナイダー先生の噂は学校中に広まっていた。フィリップが寄宿舎で話したことがそれぞれのクラスに伝わった上、他にも校内でシュナイダー先生に会ったという生徒から新たな報告が上がったからである。シュナイダー先生の授業を受けた生徒たちは、まだ順番の回ってこないクラスの生徒たちから報告を求められ、それが次々と広まったお陰で、チェハのクラスの音楽の授業は翌週だったが教わらないうちからシュナイダー先生の授業内容はすっかり頭に入っていた。
 いつも明るい微笑を絶やさないシュナイダー先生は、生徒たちの心を掴むのがうまかった。説明は丁寧でわかりやすく、それまでは退屈でたまらなかった楽典の授業も楽しんで聞けたし、生徒たちに合唱を指導する時には美しいソプラノで手本を示してくれる上、その曲が作られた背景や曲に込められた作曲家の思いを付け加えるのを忘れなかった。以前はバウアー先生に睨まれて渋々歌っていた少年たちは、今やシュナイダー先生に褒められたい一心で大声を張り上げるようになり、先生は変声期の生徒には決して無理して歌わないように、張り切りすぎる生徒にはハーモニーを乱さないようにと注意を繰り返し、ちゃんとできた生徒には褒めてやり…、とてんてこ舞いの忙しさだった。先生に自分を見てほしい、という思いを抑えられない一部の生徒たちには手を焼くこともあったが、シュナイダー先生がえこひいきなく、どの生徒にも同じように目をかけてくれることがわかると、少年たちも落ち着きを見せ始め、先生の指導の下、少しずつ皆で曲を作り上げる喜びを知った。
 季節は既に秋になっていたが、シュナイダー先生が来てから学校の中をいつも爽やかな春の風が吹き抜けているようにチェハは感じていた。先生の明るい声を聞くと何だか心が温かくなったし、先生と目が合ったりするとチェハはどぎまぎして目を伏せてしまうのだが、幸せな気持ちになれた。それはチェハにとって、うれしいものだった。
 その頃チェハはピアノの先生から来年のコンクールに出てみないか、と言われていた。音大入学、そして将来は演奏家を目指すなら一度は挑戦した方が良いと言われ、チスクも大いに乗り気だったが、チェハはまだ決心がつかずにいた。習い始めてまだ日が浅いこと、ろくに学校にも通えずに子ども時代を過ごしたコンプレックスをいまだに払拭できずにいたのである。ある日の放課後、音楽室でピアノを弾きながらフィリップにコンクールのことを話してみたところ、フィリップもピアノの先生に勧められ、参加を決めたと言った。
「どうせなら一緒に出ようよ。何を迷ってるの?」
「何か苦手なんだよ、大勢の人の前で弾くのって。」
「何言ってんだ。そんなこと言ってたら音大の試験、どうするんだよ?」
「あら、何の話?」
ドアが開いて、シュナイダー先生が顔を出した。
「先生、こいつ情けないんですよ。ピアノの先生からコンクールに出ろって勧められてるのに、人前で弾くのが苦手だなんて言うんですよ。」とフィリップが言いつけた。
「あら、そうなの? チェハ」
「いえ、あのう、僕、初めてなもので…。あの…、先生はコンクールに出られたこと、ありますか?」
チェハは思い切って尋ねてみた。
「ええ、ありますよ。全部で三回。私も歌手を目指していたことがあるから。コンクールでの成績は良くなかったけれどね。一番良くて入賞。で、プロの歌手になるのは諦めて、こうして教師になりました。でもコンクールに出てみると、とても勉強になるわよ。自分に足りないものが見えてくるっていうのかしら。自分で課題を見つけて、それを次につなげることもできるし、出て損はないわ。コンクールで失敗しても音大に落ちるわけじゃないし、失うものは何もない。一人で考えてても何も生まれないもの。」
「ほら、先生もこう仰ってるじゃないか。頑張ろうよ、一緒に。」
「ところで貴方たち、同じ先生に教わっているの?」
「いえ、違います。」
「チェハの先生はどんな先生? チェハがその先生のことを信頼できて尊敬もできる方かしら?」
「はい。レッスンをして頂くようになったのは半年ほど前からなんですが、とても丁寧にわかりやすく指導してくださいます。」
「だったら安心よ。コンクールまでは長丁場だから、信頼できる先生でないと続かないわ。フィリップの先生も良い先生?」
「はい、バッチリ。」
「だったら、一緒に頑張ってごらんなさい。私も応援しているわ。」
 そんなやりとりがあって、チェハはフィリップと一緒にコンクールに挑戦することになった。曲はシューベルトの「ピアノソナタ第16番」の第一楽章。チェハにはまだ難しい曲であり、フィリップのようには弾けなくて落ち込むこともあったが、シュナイダー先生の励ましがチェハを勇気づけていた。コンクールは翌年の七月。チェハは先生の指導の下、焦らず丁寧に練習を進めていった。
 シュナイダー先生との別れは意外な形で訪れた。バウアー先生の復帰は早くて二月の新学期と言われていたのだが、思いの他回復が早く、クリスマス休暇明けの復職が発表されたのだ。
「これが俺たちへのクリスマスプレゼントかよ…。」
「何も無理して急いで出てこなくっていいのにね。寒い時に年寄りが無理したらロクなことないのに。」
「ああ、もうヘレーネちゃんに会えなくなる~!」
生徒たちの嘆きはひと通りではなかった。残念なのは先生も同じだった。
「貴方たちとやりたいことがまだあったのよ。みんなの得意な楽器を持ち寄って、合奏もやってみたかったんだけど…。でも仕方ないわ。私はバウアー先生が戻られるまで、っていうお約束で来たんだから。」
 それから十日ほどしてシュナイダー先生との別れの日が来た。先生の最後の授業が終わった時、ペーターが立ち上がった。
「先生に何かプレゼントしたくて、皆で一生懸命考えました。先生に教わった歌を皆で歌います。」
少年たちは立ち上がり、チェハが伴奏を弾き始めた。曲はシューベルトの「菩提樹」。先生への感謝の気持ちを込めて少年たちは一心に歌い、彼らの気持ちを感じたシュナイダー先生は目にうっすらと涙を浮かべて聴き入った。
 音楽のプレゼントはこれで終わりではなかった。その日の放課後、チェハとフィリップはシュナイダー先生を音楽室に呼んで、それぞれ1曲ずつ先生のために弾いた。チェハはショパンのノクターン作品9の2。フィリップはリストの愛の夢第3番。チェハはコンクール出場へと自分の背中を押してくれた先生への感謝を込めて、フィリップは音楽の素晴らしさに改めて気付かせてくれた先生への感謝を込めて。
「先生、ありがとうございました。コンクール、頑張ります。」
「先生、短い間だったけどお世話になりました。先生のこと、忘れません。」
「私もあなたたちのことは忘れないわ。二人とも立派なピアニストになりますように。元気に頑張ってくださいね。」
そう言うと、シュナイダー先生は二人に手を差し出した。先生と握手を交わした二人は、先生の手の温もりを忘れないよう右手を大事に握りしめながら、先生の後ろ姿を見送った。
 そして七ヵ月後。
 コンクール会場は異様な熱気に包まれていた。ピアニストを目指して練習を重ねてきた若者が集い、その腕前を競うのである。いつもは明るく元気なフィリップさえも、雰囲気にのまれたのか青い顔をしていた。
「何だか余裕じゃないか、チェハ?」
「まさか」
「君は普段からしゃべらないからさ、すごく落ち着いているように見えるんだよな。あー、どうしよう。ステージの上で何も弾けなくなったら…。」
「大丈夫だよ。落ち着けよ。」
勿論チェハだって緊張していた。でも、もともと自分には場違いなところだという気持ちがあり、賞を狙っている訳でもなかったので、かえって開き直れていた。
「失うものは何もない」と、チェハは自分に言い聞かせた。精一杯弾くだけだ。
 演奏が始まった。みんなこの日のために練習を積み重ねてきただけあって、見事だった。フィリップも緊張しながら立派に弾き終えた。チェハの番が来た。客席にいる審査員も聴衆、他の参加者もチェハの目には入らなかった。ただ目の前の鍵盤に向かって、練習を重ねてきた曲を無心になって弾いた。
 チェハが弾き終わった時、割れんばかりの拍手が会場に溢れた。チェハは胸が一杯になった。全力を尽くしたという満足感で一杯だった。
 審査の結果、フィリップは三位、チェハは入賞と発表された。チスクは大喜びだった。
「チェハ、本当によくやったわ。次はメダルだって夢じゃない。」
チェハは入賞も夢のようだったが、何よりうれしかったのは会場で声をかけてくれた初老の紳士のこの言葉だった。
「君の演奏、本当に見事でした。感動しましたよ。これからもしっかり勉強してください。」
ピアニストになって、コンサートを聴きに来てくれた人に感動してもらえるような演奏ができたら…。それは素晴らしいことかもしれない。今まで一人の聴衆として聴くだけだった自分が初めて聴いてもらう側になって、ピアニストという職業のイメージが現実に少し掴めかけたような気がしているチェハだった。

☆       ☆       ☆       ☆       ☆

[お断り]
Fraulein Schneider なんですが、正しくは Fraulein の a の上に「ウムラウト」という点が2つつくんです。それがどうしても出せませんでした。すみません。(出し方をご存知の方、いらっしゃいましたら教えてください。)

コンクールの曲については、いろいろアドバイスを頂いたのですが、あれこれ聞き比べる時間がありませんでしたので、「私でも知っている」曲にしてしまいました。悪しからず…。

mkm

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「空白の15年」特別編 チェハのファーストキス原稿募集

空白の15年の間に、チェハがいつファーストキスを経験したか?
この話題がひそかに盛り上がって参りました。

そ・こ・で・・・

あなたの一番好きなシチュエーションでチェハがどんなファーストキスを経験したのか、原稿を募集します。

原稿用紙何枚でも構いません。コメント欄何センチでも構いません。
ハンドルネームを公表するのが恥ずかしい方は、ペンネームを使用してください。

締め切りは、「春のワルツ」放送休止の7月7日(土曜日)。

早い人順にこちらに発表してしまうと、後から書く人の妄想を邪魔してしまう恐れがありますので、出来上がった人は、下記のアドレスにお送りください。

7月7日(土曜日)「春のワルツ」の放送と同時刻の午後11時過ぎに、一斉発表いたします。

みなさま、奮ってご参加くださいね。
お待ちしておりま~す!

あて先はこちら

lovedoyoung0414@yahoo.co.jp

(メールアドレスのお間違いにはお気をつけください。知らない人のところに間違えて送られてしまうのは、きっととっても恥ずかしいことでしょうからね。)

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「空白の15年」の今後--by mkmさま

「空白の15年」の今後

ジュニア・コンクールでフィリップは2位か3位。チェハは入賞ぐらいでいいかな?
で、音大受験に向けてまっしぐら。2人ともめでたく合格

音大では演奏家を目指すたくさんの学生との出会いに刺激され、充実した生活を送ります。
(このあたりの詳しいことについては、また皆さんのお知恵を拝借することになると思いますので、宜しくお願いいたします)。

で、音大を卒業する頃に今度は国際コンクールに挑戦して、優勝! 本格的にピアニストとしての人生を歩み始めます。
コンクールでチェハに敗れたフィリップは、深い挫折を味わいながらもチェハのマネージャーとして彼の演奏家としての人生を支える決心をします。 

そして二人三脚での演奏活動が5年ほど続いたある日、韓国のグリーンミュージックのソン・イナからフィリップに電話が入る…、とここまでくるとドラマにつながります。



このどこかに、子ども時代のチェハ(本物)をよく知るカナダ時代の知人または同僚が、オーストリアに一家を訪ねてくる、というシーンを入れようか入れまいか、迷っています。
第7話で一家がイナやイナの父親と会食する場面のようなものが、もっと前にあったかどうか?
イナの父との会食は、イナがさっさと設定してしまったのでミョンフンたちとチェハは何の打ち合わせもできず、ぶっつけ本番みたいで、みんな緊張していましたよね。
私が迷っているのは、恐らく家族ぐるみでお付き合いをしていた人がオーストリアに行く用事ができたので、その時に久しぶりに会いたい、チェハ君も大きくなっただろうから是非会いたい、と言ってきて、断ることはできない……。でも気が重い、とミョンフン一家のそれぞれが葛藤するようなシーン。
どうしても必要ってことはないのですが、長い海外生活の間に友人知人親戚が訪ねてくるというのは実によくあることなので、あっても不思議ではない。(ない方が不自然かも?) でもこのシーンを入れたら、物語が更に重たくなります。皆さんはいかが思われますか?

それからピアニストになってからの5年間のことを、どれくらい書けばいいでしょうね?(別の言葉で言えば、チェハは具体的にどんな活動をしたのでしょう?)
オーストリアを中心にヨーロッパで演奏活動をしていたのだと思うのですが、ドラマの設定として何かで読まれた方がいらっしゃれば教えてください。読まれたことはなくっても、新進気鋭の演奏家ってこんな感じですよっていうお話も大歓迎です。
一気に5年間を飛ばしてしまうこともできなくはないのですが、それでは味気なさ過ぎるかな、と思いまして。

ざっくばらんなご意見をお寄せください。ここで皆さんに沈黙されると私一人で悩むことになりますので…。
よろしくお願いします。

mkm

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韓国の願掛けについて--naorinさま

は~い!
呼ばれたようなのでこちらでお返事

ありますよ~「韓国の願掛け」

お受験などで昔から一般的に使われているのは「餅」と「飴」
どうやら「くっつく」からなのだそうですが・・・
日本人の私達にはわかりづらい解釈ですよね

最近ではご承知のとおり韓国の受験戦争はすごくて
毎年変わったお受験願掛けグッズが出ているようです

幾つか例をあげますと

フォーク
「問題をよく刺せる(狙える)」


「問題をよく見る」

トイレットペーパー
「問題を解く」の解く(プルダ)と「紙で鼻をかむ」のかむ(プルダ)
がハングルでは同じらしいので・・・

でもね~チェハの家族って多分キリスト教信者ですよね?
10話でチェハがボロボロ泣きながら懺悔していたシーンとか
ありましたし・・・

だからそういう視点からだとチスクは教会でお祈りでもしていたのでは
ないでしょうか?

でもこれだとおもしろさには欠ける・・・かしら?

う~ん、後はmkmしゃんにおまかせ

そういえば「ママボーイ」って言葉、知ってます?
いわゆる日本で言う「マザコン」なんですけど

韓国では男の子を望む家庭が多くて
女ばかり生まれると男が生まれるまで生み続ける人が多いんです
(まるで一昔前の日本みたいでしょ?)
それに産前には絶対に性別告知はしないんです
すると堕胎する可能性があるので禁止されているんです

すご~く望まれて生まれてくるので母親は男の子をめちゃめちゃ
可愛がるそうです
息子の為ならなんでもやってあげちゃう
そしてそれは息子にとっては当たり前なんですって
ちょっとびっくりでしょ?

「春のワルツ」の中でもそういうシーンが幾つも
ありますよね

チスクが異常にチェハに執着するのもそんな背景から
きているのかもしれませんね

そんなママボーイも徴兵で母親から離れて軍隊で鍛えられ
逞しくなって戻ってくるわけです

ちなみに軍隊に入隊する時
現在ではしているかどうか解からないそうですが
母親は自分の下着を息子に持たせるそうですよ
う~ん、理解不可能

今回はあまり参考にはならないかも・・・
ごめんなさい

naorin

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「SPRING WALTZ 4」--mkmさま

SPRING  WALTZ 4 -ドラマで描かれなかった空白の15年-

 ある日の美術の時間、チェハとフィリップは校庭の一角で写生に精を出していた。長年、絵を習っているだけあって、フィリップは見事なタッチで校舎や花壇を画用紙に描いていた。
「たいしたもんだね、フィリップは。僕はとても君みたいには描けないよ。」
「そういう君はピアノの天才じゃないか。」
「ばか言え。天才なもんか。」
「いや、すごいと思うよ、君は。僕なんかもう追い越されそうだもの。僕は小さい頃から習ってるだけさ。君みたいには弾けないよ。僕が少しばかり絵が描けるのは親譲りさ。うちは父さんも絵描きだから。母さんが絵を描いてたことは前に話したろ? 父さんは東洋の美術や建築物に興味を持っていて、美大を卒業してから中国や韓国で絵を教えながらあちこち見て回ってたんだって。父さんが韓国にいた時、母さんが絵を習いに来て、それで二人は恋に落ちたってことだよ。おばあちゃんが言ってた。」
「ご両親が絵描きで、息子は音大志望かい? お父さんは君に美大に行けって言わないの?」
「うん、言わないよ。僕が絵を描くよりピアノの方が好きなのは知っているから、好きなことをした方がいいって言ってた。それに父さんは絵を描いて生きていくことの大変さも知っているから、自分と同じ苦労はさせたくないのかもしれないよ。君のご両親も好きにさせてくれるんだろう?」
「まあね。」

 実はその数日前、チェハはミョンフンと将来のことを話し合ったばかりだった。チスクがその年の夏休みにチェハをロンドンに連れて行って、有名なピアニストのレッスンを受けさせる、と言い出したのが始まりだった。突然の話にチェハは度肝を抜かれた。それまでもチスクはウィーン市内で評判の良い先生を見つけてきてはレッスンを受けさせていたし、その前の年の夏休みにはザルツブルグで一週間の集中レッスンに参加させていた。チェハはピアノを弾くことが好きだったし、いろいろな機会を与えてくれることに感謝はしていたが、それにどれだけの費用がかかるのかはわからなかったし、そこまで期待をかけて精一杯自分に尽くしてくれるチスクの気持ちが時には重く感じられることも事実だった。チェハはミョンフンの書斎を訪ねた。
「あの、お父さん。ロンドン行きのことですが…。」
「どうしたんだい? 気が進まないのかい?」
「何だか気が重くて…。お母さんはピアニストになれと言われますが、習い始めてまだ三年にもなりません。ピアニストを目指す人って、みんな小学校に入る前からレッスンを受けている人ばかりです。そんなにまでしていただいても、僕はピアニストになれるかどうか…。」
「お前はピアノが嫌いかい?」
「いえ、ピアノは好きです。」
「他にもっと好きなこととか、やりたいことがあるのかい?」
「いえ…、別に。僕には何の取り得もありませんから。」
「だったら勉強だと思って行ってくればいいさ。ピアニストになるかどうかはまだ先のことだし今すぐ決めることもないが、勉強して実力をつけておかなきゃ何も始まらないだろう? 母さんはお前がピアノを頑張ってうまくなるのがうれしくて仕方ないんだから。親孝行だと思って行っておいで。」

 そう言われては何も言えなかった。自分は住む所も食べる物も着る物もすべて与えられ、学校で勉強させてもらえるだけでなく、ピアノまで習わせてもらっていた。それに自分がもっと進歩するよう、チスクはあらゆる伝を頼って情報を集めては自分に様々な機会を与えてくれた。何不自由ない暮らしをさせてもらっている上、優しく励まされ期待をかけられ上達したら褒められる。それは自分のこれまでの人生の中で経験のないことであり、韓国にいた頃とのあまりの差に途惑うことも多かった。分不相応とでも言うのだろうか。地獄の底まで行ってもいい、と思ってミョンフンたちについて来たはずだったのに、待っていたのは夢のような暮らしだった。恵まれすぎていることで、かえって心が重くなることもあった。でも今の暮らしを自分の力で変えることは不可能だった。自分を大切に育ててくれる両親に逆らうことはできなかったし、両親の言うとおりピアノを頑張るしかなかった。
「どうして君は死んでしまったんだい、チェハ?」
と、チェハは今も残されている亡くなったチェハの写真に向かって呟いた。写真のチェハはいつも明るく自信に溢れた笑顔をこちらに向けていた。
「僕が死んで、君が生きていれば良かったのにね。それとも僕が最初から君だったら良かったのに。」
 チェハとして生きる、と心に決めていたものの、どんなに消そうとしても消えない記憶と現実とのギャップはいつまでも埋まりそうになかった。

「チェハ、ぼんやりしてないで手を動かせよ。もうすぐ授業が終わっちゃうぞ。」
と言うフィリップの声でチェハは我に返った。
「え、フィリップはもう完成したの?」
「まだだけどさ、これは自分で頑張れよ。写生だけは手伝いようがないからさ。」
「わかってるよ。」
 チェハは慌てて絵筆を動かし始めた。  

 夏休みが近付いたある日の昼下がり、チェハはフィリップや他のクラスメートとサッカーに興じた後、木蔭で一息ついていた。そして皆が夏休み中の計画を語り合うのを聞くともなしに聞いていた。家族で旅行に行くという生徒や、サマースクールやキャンプに参加するという生徒が少なからずいたし、大学生の兄や従兄と一緒に近隣のドイツ、スイスを鉄道で旅する、という生徒もいた。フィリップはサマースクール組だった。スイスでの六週間のコースに参加した後、父親と合流してアルプスを一週間トレッキングするのだと言っていた。「父さんの年に一度の罪滅ぼしだよ」と、フィリップはチェハにウィンクして見せた。ウィーンに戻ってからは祖母の家で暮らし、ピアノの練習に精を出すつもりだとも言った。
「チェハはザルツブルグとロンドンに一週間ずつだったよな?」
と言うフィリップに頷いて見せた時、
「ねえ、チェハ。君はカナダから来たんだろ? 僕はこの夏カナダに行くんだけど、お勧めの観光地、教えてくれよ」
と話しかけてきた少年がいた。ペーターというその少年は裕福な家の子どもで、父親の地位や財力を鼻にかけるようなところがあり、チェハはあまり快く思っていなかった。
「カナダにいたのは少しの間だったから、どこへも行っていないんだ。」
と答えてチェハは立ち上がると、教室に向かって歩き出した。「役に立たないやつだなあ、外交官の息子なのに」と言う彼の声が聞こえたが、気にしなかった。他にもいろいろ尋ねられたら厄介なことになる。韓国内のこともチェハはよく知らないのである。
 すぐにフィリップが追って来た。
「どうしたの、チェハ?」
「うん、何となくペーターのこと苦手でさ。あんまり自慢話聞かされたくないし。」
「自慢し返してやれよ。君のお父さんだって、君のためだったら何だってしてくださるじゃないか。」
「自慢することじゃないよ、そんなの。両親には感謝しているけれど…。」
そこへヨハンという少年がやって来た。
「気にするなよ、チェハ。みんながペーターのこと、よく思ってる訳じゃないから。実を言うと僕もあいつの自慢話は苦手なんだ。どこへ行った、何を見たって言っても、それだけなんだ。羨ましくも何ともないよ。」
「君は夏休みどうするの、ヨハン?」と、フィリップが尋ねた。
「僕はバッハの研究。バッハの音楽が大好きなんだ。だからこの夏休みはバッハの生涯や作品について、じっくり調べてみようと思ってる。いつか彼が暮らした街や、オルガンを弾いた教会を訪ね歩くのが僕の夢なんだ。有名な観光地だけを回るより、自分の行きたい所に行く方がいいさ。自分だけの旅って感じで、かっこいいだろう?」
「それなら僕はいつかポーランドに行ってみたいな」と、チェハが言った。
「ショパンかい?」
「うん。あのリズムやきれいなメロディーを生んだ国を見てみたいし、ポーランドの音楽も聴いてみたいんだ。」
「他にチェハが行ってみたいところはある?」と、フィリップが尋ねた。
「そうだなあ。ねえ、君たち、海に行ったことある? オーストリアには海がないだろう?」
「イタリアの海には行ったことがあるよ、ずっと前だけど。」ヨハンが答えた。
「僕はね、フランス。南フランスだった。チェハは海が見たいの?」と、フィリップが言った。
「うん、いや…。しばらく見てないな、と思って。」
「海はいいよな。イギリスに行けば見られると思うけど。ロンドンにしか行かないの?
そうだ、いつか行こうよ。今は無理でも大学に入ったらさ。」
「そうだね。」
三人はそんな話をしながら教室に戻って行った。

 夏休みが始まった。夏休み中は学校の勉強に煩わされずピアノの練習に専念できることが、チェハにはうれしかった。普段以上に練習しても、自分の部屋でゆっくりCDを聴いたり、コンサートに出かけたりする時間も取れた。ただフィリップに会えないことにチェハは物足りなさを感じていた。スイスのサマースクールに行ったフィリップは絵葉書を寄こして世界各国から参加している生徒たちと楽しく勉強やスポーツに励んでいると書いてきた。毎年のように参加しているフィリップには顔なじみもいるとかで、元気そうだった。
 チェハは七月にザルツブルグでのレッスンを受け、八月に入ってからチスクと二人でロンドンへ行き、一週間のレッスンを受けた。そしてそれが終わる頃にミョンフンも休暇を取ってやって来たので、一家はしばらくの間イギリス各地を旅した。ロンドンはウィーンに比べると随分雑多な街だとチェハは思ったが、自然はオーストリアと同様に美しかった。少し郊外へ出るとなだらかな丘陵地帯がどこまでも続き、そこここで牛や羊が草を食んでいる様子は本当にのどかで、のんびりした気持ちになれた。イギリスにはほとんど山がないことを、チェハはこの時知った。湖水地方を巡り、スコットランドのエディンバラまで足を伸ばすと、そこにはイングランド地方とはまた趣の異なった町並みが広がっていた。チェハにはキルトと呼ばれるスカートのような衣装を着たバグパイプ吹きも珍しかったし、丘の上に黒々とそびえるエディンバラ城や数々の教会も印象に残ったが、何よりも街はずれに海が見えることがうれしかった。
「チェハったら、せっかくエディンバラ音楽祭に合わせて連れて来たのに、海の方がうれしいみたいね。」
「そんなことありませんよ。でも海を見るのは久しぶりですから。」
そう答えるとチェハは一人ベランダに出た。海岸の景色は青山島とは随分違っていたが、この海は間違いなく青山島に続いている。チェハは言いようのない懐かしさと痛みを同時に感じていた。

 エディンバラに数日滞在していた間に世界各地から参加した音楽家たちの一流の演奏を満喫して、チェハはウィーンに戻った。間もなくフィリップもスイスから帰って来て、土産を持って訪ねてきた。随分日焼けして逞しい感じになったフィリップは、チスクに「あら、急に背が伸びたわね。」と言われて上機嫌だった。
「ロンドンはどうだった、チェハ?」
「ウィーンの方がきれいだよ。あっちは何だかバラバラな感じなんだ。建物の高さもバラバラだし、中世のお城の隣に高層ビルが建ってるし、ウィーンの方がまとまった感じだよ。きれいで広い公園はたくさんあるし、自然は素晴らしいんだけどさ。」
チェハはロンドンの印象を思い出しながら、ゆっくりと言った。
「そりゃあそうさ。ウィーンは僕のふるさとだもの。」
と、フィリップは妙なところでお国自慢をしたが、
「そうだ、海は見られたの、チェハ?」と、尋ねた。
「うん、エディンバラで見たよ。」
「そう、良かったね。スイスにはきれいな湖があるけど、海とは比べものにならないもんね。僕も海は大好きさ。大きくって、どこまでも続いてて。」
「山はどうだったの?」
フィリップが父親と二人でどんな過ごし方をしたのか、チェハは気になっていた。
「うん…、楽しかったよ。僕は山も好きだし、山には去年も二人で行ったんだけど、今年は写生しながら歩いたんだ。父さんの絵とか描き方を見てると、やっぱり勉強になるんだ。うちの父さん、あんまりしゃべらないけど黙って教えてくれてるんだなって思うんだ。でもね、父さんが僕の描いた絵を見て、何だか懐かしそうな顔してるの。“何?”って聞いても父さん何も言わないんだけど、僕ピンときたから、“僕の絵、母さんの絵に似てる?”って聞いたら、父さんたら何も言わないで黙って僕の頭なでるんだ。ちゃんと言ってくれたら僕だってうれしいのに…。父さんは大事なことは何も言ってくれないんだ。」
フィリップはひどくもどかしそうだった。チェハにはフィリップの気持ちが手に取るようにわかった。フィリップは父親にきちんと向き合ってほしいんだ。自分の気持ちを受け止めてほしいんだ。自分もそうだった。自分もチョンテに、自分を一人にしないでほしいと、どれだけ訴えたことか。でもそれは一度も叶えられなかった。あんないいかげんな父親でも、いつも一緒にいてくれるだけで良かったのに。
「悔しいよね。」と、チェハはぽつりと言った。
「うん、悔しい。いっそのこと、父さんが僕を嫌って知らん顔しててくれた方がマシかもしれない。でもそうじゃないんだ。僕のこと、思ってくれてるのはわかるんだ。今度だって父さんはサマースクールに、僕にピアノを使わせてやってくれって頼んでくれてたんだ。お陰であっちでもかなり練習できたんだよ。それなのにどうして僕が一番聞きたいことに、ちゃんと答えてくれないんだろう?」
「まあ、フィリップ。お父様のことをそんなふうに言っちゃだめよ。」
二人におやつを運んできたチスクが思わず口を挟んだ。
「お父様だって、できることならあなたに全部話してあげたいと思っていらっしゃるはずよ。でもどうしても話せない事情がおありなんだと思うわ。辛いだろうけれど、もう少し辛抱なさい。いつかきっと話してくださる日が来るから。」
チスクに宥められてフィリップは話題を変えた。そしてその後は機嫌よくしゃべって帰って行った。
 フィリップが帰った後、チェハは彼の言葉を思い返していた。その場その場で口から出まかせの嘘ばかりついていた父。時々警察に連れて行かれた父。父は今ごろどこでどうしていることだろう? 父は自分がいなくなったことに気付いただろうか? 実の父にどれほど求めても与えられなかったものを、今、赤の他人の夫婦に与えられている自分の運命の悲しさにチェハは悔し涙を流した。

☆       ☆       ☆       ☆       ☆

この後、新学期を迎え、新しくチェハの学校に赴任してきた若くてきれいな音楽の先生に男子生徒たちが憧れて、いろんな反応を示します。それと同時にチェハとフィリップはジュニア向けのコンクールに出場することになり、二人して練習に励みます。

チェハとフィリップが出会ってようやく1年が過ぎましたが、ちょっとこの1年に時間を取りすぎた気もしますので、コンクールの後は音大受験に向けてまっしぐらに頑張っていただくつもりです。

ここで質問なのですが、コンクール出場って本番の何ヶ月前くらいに決めるものでしょう? (sweet さまぁ!!)
それから日本では願をかける時に、好きなものを断ったり、お百度を踏んだりしますが、韓国ではどんなことをするのでしょう? チスクさんのことですからチェハの音大受験ともなったら何でもやりそうな気がしますので、教えていただけたら助かります。
(こちらは naorin さまぁ!!)
勿論、ご存知の方はどなたでもアドバイスお寄せください。
宜しくお願いいたします。  m(_ _)m

mkm

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SPRING WALTZ 第7回アンケート

今週のお題、mkmさまより発表です!

☆ チェハとフィリップの学生生活、引き続き募集します。

☆ チェハがピアノを習い始めて4年ほど経ったところで、ジュニア向けのコンクールに出場してい
 ただこうかと考えています。
 (発表会、も考えましたが、チェハには発表会よりコンクールの方が似合いそうなので)
 この時はチェハはフィリップにかなわないのですが、初めて人前で演奏する緊張や評価される
 喜びなんかを感じられるシーンにできたらと思います。
 曲目なんですが、ピアノを始めて4年ほどの少年が、毎日猛練習したとして、どんな曲が妥当で
 しょう。
 ショパンの「華麗なる大円舞曲」なら弾けるでしょうか? ショパンのスケルツォやベートーベン
 の三大ソナタはいくらなんでもまだ無理かなと思うんですが…。
 テクニックだけを競わないで表現力で勝負するなら、ノクターンなんかもいいかな?と思います。
 何かヒントをいただけたら助かります。

☆ まだ先の話なんですが、ピアニストのマネージャーの仕事がよくわかりません。
 スケジュール調整はわかりますが、たとえば新人ピアニストの場合なら「売り込み」にも行くんで
 しょうか?
 フィリップは具体的にはチェハのためにどんな努力をしたのでしょうか?
 調べるのを手伝っていただけると助かります。

☆ チェハとフィリップの大学入学時期ですが、特にご意見はないようですので、2人一緒の
 つもりで進めます。

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「Spring Waltz 3」&第6回アンケート

SPRING WALTZ 3   -ドラマで描かれなかった空白の15年-

 (前回の、「二人はしっかりと握手した。」に続けてお読みください。)

 それから二人は休み時間などよく一緒に過ごすようになった。チェハはあまり自分から話をする方ではなかったが、つきあっているうちにフィリップはチェハの誠実な優しさを感じるようになったし、チェハにはフィリップの明るさ、聡明さが好ましく思えた。そして二人が一緒にいることで、フィリップへの嫌がらせも次第になくなっていった。

「ねえ、チェハ。君は家に帰ったら毎日何をしているの?」
「学校の宿題以外はピアノの練習。」
「へえ、君もピアノ弾くんだ。でも毎日そんなに練習するの?」
「母が頑張れ、頑張れって言うんだ。僕をピアニストにしたいらしくてさ。なれるかどうかなんてわからないけど、ピアノは好きだから練習はしてる。」
「僕はおばあちゃんがピアノが好きで、僕に教えてくれたのが最初。亡くなった母さんは絵が上手で、よく一緒に描いていたから今でも絵の教室には通ってるけど、将来は音大に行きたいと思ってる。ピアノの方が思いっきり自分を出せるような気がするんだ。」
「音大に行きたいのに絵を習う余裕なんてあるの?」
 毎日ピアノ漬けのチェハには考えられないことだった。
「いろんなことやった方がいいさ。人生は長いんだから。僕はバスケットのチームにも入ってるんだよ。」
「バスケット?! 指を痛めたりしないの?」
「大丈夫。僕は運動神経抜群だから。それにもっと背を伸ばしたいんだ。僕の父さんも子どもの頃はチビだったけど、バスケットをやってるうちに大きくなったって、おばあちゃんが言ってたんだ。君ぐらい大きくなれたらいいんだけどな。」

 実際、フィリップは多芸多才だった。小さい頃からきちんと勉強して、芸術に触れて育つとこうも差が出るものかとチェハは感心した。美術の時間にフィリップが描く絵はみんなの称賛の的だったし、音楽室で一緒にピアノを弾いてみれば、チェハがまだ弾きこなせないような難曲を軽々と弾いて見せた。学科の勉強もそつなくこなし、ピアノの練習に追われて宿題をする暇のなかったチェハが、次の日学校に来てから大急ぎで片付けていると、さりげなく手伝ってくれもした。
「それにしてもよく練習するんだな、チェハは。小さい時からずっと習ってたんだろう?君みたいに練習するやつ、初めてだよ。」
「本当にピアノが好きになって練習し始めたのはウィーンに来てからなんだ。それまでは怠けてばかりさ。」
チェハはフィリップから目をそらして、小さな声で答えた。
「そうみたいだね。勉強もピアノも怠けて、君は一体何をやってたわけ?」
チェハは笑って答えなかった。学校にも行かせてもらえず、ガム売りをしていたなんて言えるわけがなかった。
 二人は時々音楽室で一緒にピアノを弾いた。小さい頃から優れた演奏を数多く聴いてきたフィリップは、チェハが自分にはない才能を持っていることをすぐに見抜いた。今はまだ自分の方が技術的には勝っているが、聴く人の心に訴えかける表現力をチェハは持っていた。しかしチェハはフィリップが技術的に優れているだけではなく、即興で曲をアレンジすることに驚嘆した。自分は譜面通り弾くのが精一杯なのに、フィリップは自分に主旋律を弾かせておいて、伴奏部分を作ってしまうのである。自分の力のなさを思い知らされるようで、時に落ち込むこともあった。でもフィリップと一緒にいると、家で一人で黙々とピアノに向かっているだけでは得ることのできない楽しさや喜びを感じることができたのもまた事実だった。二人は互いに自分にない力を持っている相手に益々惹かれるようになっていき、一緒に過ごす時間が増えた。レッスンに行かない日など、学校でフィリップと一緒にピアノを弾いていて帰宅が遅れることもあり、チスクに小言を言われることも度々だったが、ミョンフンはチェハに友だちができたことを喜び、チスクをたしなめた。
「学生時代の友だちは大切なものだよ。たまに遊んできたっていいじゃないか。チェハにない才能を持っている子なら刺激も受けるだろうし、家で一人で練習する以上の収穫もあるだろう。こっちに来て初めての友だちだ。よかったら一度家に呼びなさい。父さんも会ってみたいからね。」
「いいんですか、お父さん? お母さん?」
「ええ、ええ、連れていらっしゃい。母さんもお友だちができたのはうれしいのよ。ただ帰りが遅くなるのが心配なだけなの。」

という訳で、フィリップは次の土曜日に夕食に招かれることになった。話を聞いた時、フィリップはうれしそうにしながらも返事をためらった。
「いいのかな、本当にお邪魔しても…」
「いいさ。うちの父と母が君に会いたいって言ってるんだ。来てくれなきゃがっかりするよ。」
「そうかい。でも招待してもらっても僕は君を招待できないんだよ。」
「そんなこと気にするなよ。呼んでほしくて誘ってるんじゃないんだから。君のピアノを聞かせてやってくれたら喜ぶよ。」

そんなやりとりを経て、次の土曜日フィリップはやって来た。
「初めまして。フィリップ・ローゼンタールです。今日はお招きいただいて、ありがとうございました。」
はきはきと挨拶するフィリップに、ミョンフンもチスクも好印象を持ったようで、その様子を見てチェハもうれしく思った。
「ようこそ、フィリップ。さあ、お入り。」
「フィリップ、よく来てくれたわね。さあ、遠慮しないでたくさん食べてね。」
「わあ、おいしそう。いただきます。チャ-ル モッケッスムニダ、で合ってますか?」
「合ってるとも。韓国語もできるんだね、フィリップは?」
「いえ少しだけです。母が亡くなってからは、全然話さなくなってしまいましたから。すっかり忘れてしまいました。」
「さあさあ、冷めないうちにどうぞ。」
チスクに勧められるままにフィリップは並べられた料理を次々と平らげ、ミョンフンの問いかけにも物怖じせずに答えた。フィリップが楽しそうにしているので、普段は無口で無表情なチェハにも自然と笑顔が増え、そんなチェハの様子にミョンフンとチスクも心が和み、チスクは益々張り切って二人の世話を焼いた。

 食事の後、自分の部屋にフィリップを誘って、
「今日は来てくれてありがとう。お陰で楽しかったよ。」
と、チェハは心から言った。
「うん…、僕も楽しかった。素敵なご両親だね。僕にも優しくしてくれて。」
「僕が友だちを連れて来たの、初めてだからうれしかったみたい。君と話すの、楽しそうだったし。」
「君は家でも喋らないんだね。まあ、僕も父さんと二人だと、そんなには喋らないけど…。
ねえ、チェハ。半分オーストリア人で、半分韓国人っていう気持ち、わかる? 今まで友だちの家に行っても、親類の家に行っても、みんなオーストリア人で僕は何となく仲間に入れないんだ。入れてくれないんじゃないんだよ。でも何だか入れないんだ。僕の中の韓国人の部分がさ。でも今日は、いつも宙ぶらりんの僕の中の韓国人も仲間に入れたみたいだよ。今日は何だか不思議な感じ。楽しかった。」
「君の中のオーストリア人は大丈夫だった? 僕たちの中で居場所はあったの?」
と、しばらく考えてから、チェハは尋ねた。
「うん、大丈夫だったよ。ここはオーストリアだからかな? それに二人ともドイツ語で話してくださったしね。」
 チェハには、半分オーストリア人、半分韓国人、という気持ちはわかるようで、でもやっぱりわからなかった。「僕の中にも二人いるんだけどな…。」
 優しい両親の下に生まれ、何不自由なく育てられたユン・ジェハと、誰にもその存在を知られてはならないイ・スホ。辛い思いはしても「半分ずつ」と堂々と言えるフィリップと、一生イ・スホを殺したまま、ユン・ジェハでいなければならない自分。
「似てるけど、やっぱり違う。」チェハは心の中で呟いた。

「いい友だちができて良かったじゃないか、チェハ。」
と寄宿舎に戻るフィリップを見送った後、ミョンフンは言った。
「本当に明るくてお行儀も良くって感じのいい子。母さんも安心したわ。」
「お父さんとお母さんに優しくしていただいて、うれしかったと言っていました。ありがとうございました。」
「フィリップはお母さんの実家がどこにあったかは覚えていないと言っていたが、ソウルから随分汽車に乗ったという話からすると、地方では混血をひどく嫌う人が多いから、さぞ辛い思いをしただろう。お父さんにもいろいろ事情はあるだろうから、うちで良ければいつでも来るように言ってやりなさい。」
「本当にね。混血の人はどちらの国にも居場所がないって聞いたことがあるわ。子どもには何の罪もないのにね。」
と、ミョンフンとチスクは話し合った。

 チスクはフィリップを招いて楽しそうにしていたチェハの様子に、子どもにはやはり友だちが必要なのだと改めて感じていた。オーストリアに来てしばらくはドイツ語を覚えたり勉強の遅れを取り戻したりするのが精一杯で、友だちのことにまで気を配る余裕はなかったし、ピアノの練習を始めてからはますます時間に追われるようになっていた。チェハに「お友だちはできたの?」と尋ねても、「言葉がわからないから仲間に入れません」と首を振るばかりだった。やはり言葉が先だ、とそれからもドイツ語の習得に力を入れ、何とか日常生活には不自由しなくなった頃に一家は引っ越すことになった。その際、思い切って環境を変えた方が良いかもしれない、と転校させてみたところフィリップという友だちに出会うことができ、やはり新しい学校に入れて良かったとチスクは心からほっとしていた。これでチェハも学校が楽しくなるだろう。チェハのためになることなら、どんなことでもしてやりたい。チスクはいつもそう思っていた。
 ソウルの病院に入院していた時、自分の病室に一人の少年が飛び込んできた日のことをチスクは思い出していた。彼女は死んだと思っていた我が子チェハが生き返って自分のところに戻って来たのだと思った。そして二度と離すまい、と夢中でカナダに連れ帰ったのだったが、どうしたことかチェハは何もかも忘れてしまっていた。仲の良かった友だちも親しく付き合っていた隣人も覚えていなかった。韓国語と同じように話せていた英語も、学校の勉強もできなくなっていた。ミョンフンは何もかも事故の後遺症だと言うので、少しでも早く思い出せるように、そしてまた学校に行けるように、と毎日つきっきりで教えていたところ、急にウィーンへの転勤が決まり、また引越しをすることになった。得意だったピアノを弾かせてみたら回復に良いかと思ってやらせてみたが、チェハはピアノも弾けなくなっていた。そしてウィーンに引っ越してしばらくしてから、チェハがミョンフンにウニョンという女の子のことを度々尋ねていることにチスクは気が付いた。不審に思って問い詰めたところ、ミョンフンはついに真実を話して聞かせたのだった。やはり自分の息子は死んでいた…。チスクは打ちのめされたような気がした。それまでも息子があまりにも変わってしまったことに何度も驚いたのだが、それはすべてカナダでの事故のせいだと思っていた。それが全く赤の他人だったとは…。チスクは呆然とした。けれど目の前に自分の世話を必要としている子どもがいると思うと、じっとしてはいられなかった。実の子でなくてもかまわない、とチスクは思った。ほんの数週間ではあったが共に暮らした少年のこともチスクは心から愛しいと思っていたし、もはやこの子のいない生活は考えられなかった。夫の話ではこの子の親は行方不明で、お金に困って病院の敷地内でかっぱらいをやらかして警察に突き出されそうになったのを助けたということだった。親のないこの少年と、息子を亡くした自分たちが出会ったのも何かの縁だろう。早くに亡くなってしまった実の息子の分も、この少年を幸せにしてやりたいとチスクは思った。夫は少年を韓国に帰そうと考えていたが、帰したところで実の父親に会えなければ浮浪児になるか施設に送られるかだし、父親に会えたとしてもろくに教育も受けさせず我が子を置き去りにするような父親の下でこの子が幸せになれるとは思えなかった。少年はウニョンという少女のことを気にかけているようだが、手術を受けてその子が元気になったのなら、その少女にはもう十分なことをしてやったわけだから、この子は自分が幸せになる道を選ぶべきだ。何としても自分たちの手でこの子を幸せにしてやろう。そう考えてチスクは少年を韓国に帰すことに頑として反対したのである。チスクの説得を諦めたミョンフンは少年にウニョンは死んだと告げ、少年はチェハとして二人の下に留まることになった。それから二年余りたって、チェハは立派に成長した。今ではドイツ語も英語も話せるし、ピアノも随分上達した。将来、音大に入学することも夢ではないと、チェハのピアノ教師は言った。きちんと教養を身につけ、ピアニストとして生きていけたらどれだけ幸せだろう。チスクはチェハがピアニストとして成功する姿を思い描いた。そのためなら自分はどんなことでもしてやろう…。チェハに良い友だちができて、本当に良かった。しみじみそう思いながら、「それにしても、男の子二人でよく食べたこと」と、チスクは後片付けに精を出した。

  ○      ○      ○      ○      ○      ○

二人の「出会い」の後、友だちとして付き合い始めた様子を書いてみました。いかがでしょうか?
この後、二人は共に音大を目指しながら、たまにはヤンチャもして仲良く切磋琢磨しながら過ごすのかな、と思います。
次の「お題」として、二人の学校生活のエピソード、引き続き募集します。また音大を目指す二人ですから、一緒にコンサートに行ったり、レコードを聴いたりという場面が作れると良いのですが、どなたか有名なピアニストについてよくご存知の方いらっしゃいましたら、お知恵をお借りしたく思います。(演奏を聴いた二人が、どんな感想を言い合うか、私には思いつかないんです。)
それから音大入学ですが、習い始めの遅かったチェハに一浪していただくか、またはフィリップは優秀な成績で合格、チェハは滑り込みセーフで辛うじて合格、くらいの差をつけて二人一緒に合格にするか、どちらがいいと思われますか? ご意見をお寄せください。
それから、ストーリーの方にもドラマに突っ込むのと同じくらい鋭い突込みをお願いします。
   mkm

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第5回アンケート「学生時代の思い出」「フィリップのGFの名前」

私事ではありますが、この1週間パソコンが不調に陥ったり、週末子どもの運動会があったりで”テンテコマイ”してまして、お話の続きが頭から飛んでしまいました。もう一度落ち着いて考えるために、重たいテーマは避けまして、気楽に答えていただけるようなものにしたいと思います。

 ① 皆さんの中学校・高校時代(大学もOK!)の楽しかった思い出を教えていただけませんか?
    チェハとフィリップの出会いの後、二人が友情を育てていく段階を考えるのに参考にさせていただきたいと思いまして…。あまり二人の心の傷に目を向けてしまうと辛くなりすぎますので、日常の中に二人の傷が少し顔をだすくらいにできたらいいな、と考えています。

 ② ついでに、フィリップのガールフレンドの名前を考えてください!!
    フィリップは恐らくオーストリア人に限らず、各国からの留学生ともお付き合いをしたのではないかと思います。
    オーストリア人4,5人、それ以外例えばフランス人、イタリア人、イギリス人、その他合わせて4,5人の名前を考えていただけると助かります。自分で考えようとしたのですが、改まって考えようとすると思いつかなかったので、助けていただけるとありがたいです。

  よろしくお願いします。

  mkm

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第4回アンケート「チェハとミョンフン、チスクとのその後の関係」 最後に「この後のストーリーのおおまかな組み立て」

第4回アンケートと「ストーリーの組み立て」に関して、思いついたらコメント欄に答えていただくか、もしくは以下のアドレスへメールをお願いいたします。

lovedoyoung0414@yahoo.co.jp

お返事お待ちしております。
管理人Riebon
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ドラマにチスクさんが出てきた時、何でもかんでも「チェハ、チェハ」と干渉して、世話を焼きたがる様子を見て、「これはチェハはいやだろうな、反発するだろうな」と思ったものですが、意外にチェハはチスクには優しいですよね? 反発するところはしてましたが、チスクが入院したら、ちゃんと側について手を握ってやったりしてましたもんね。

そして、チスクの過干渉をたしなめ、チェハの肩をもってくれるミョンフンさんとは男同士の話ができそうに私には思えたのですが、そういう雰囲気にはなりませんでした。チェハとミョンフンとの間にはいつもどこかよそよそしい雰囲気が漂っていましたし、「父と子」らしい温かさは感じられません。

第19話でチェハが「僕はイ・スホに戻ります。もう無理強いはしないでください」とミョンフンに言う場面がありましたが、ドラマに描かれていた「ウニョンと別れること」「イナとの結婚」、「ユン・ジェハであると宣言すること」以外に、無理強いされたことがこの15年の間にあったのでしょうか?また、ミョンフン、チスクとの15年間はどのようなものだったでしょうか?

☆チスクとの関係
スホは実の母を知らずに育ってますから、「お母さんってこんなものなのかな」とチスクの存在は受け入れやすかったのでしょうか?チスクは恐らく子どもが生きがいの人で、スホがチェハでいる限り、無償の愛を
注いで懸命に世話し育てたであろうことは想像できます。チェハが自分の子どもになってくれたことに感謝していたかもしれませんし、この子を幸せにしてやろうと精一杯のことをしたのかもしれません。(チスクの考える”幸せ”が、チェハにとっての”幸せ”だったかどうかは定か
ではありませんが…)。思春期の少年にとって親の干渉はうるさいものでしょうが、チェハでありさえすれば自分を無条件に受け入れてくれるチスクの存在は少年チェハにとってうれしいものだったのでしょうか?
または、自分がいないとこの人は生きていかれないんだ、と彼自身が感じて、チスクを可哀想に思う気持ちが芽生えていたのでしょうか?

☆ミョンフンとの関係
ミョンフンは、どんな思いでチェハとなった少年の15年間の成長を見守ったのでしょう?そして、どのように関わったのでしょうか?

亡くなった本当のチェハへの思いはどれほど時間が経っても消えることはないでしょう。



ただ赤の他人とはいえ、長年一緒に暮らしていればそれなりに情も沸くでしょうし、少年が青年へと成長していく姿を頼もしく思ったり、ピアニストとして成長していくチェハを見て誇らしく思ったかもしれません。それでもやはり、チェハを見るたびに「あの子が生きていたら」と考えて、辛い思いをし続けたかもしれません。また、チェハにウニョンのことで嘘をついて自分たちの所に引き止めたことで、すまないと思っていたかもしれません。

チェハの方も、どんなにロクデナシであっても実の父はいたわけで、その父の本当の愛情を得られなかった哀しさ、悔しさをずっと抱き続けていたはずですから、実の父の記憶がある分、ミョンフンには素直になれなかったのかもしれません。

日々の生活の中で、ミョンフンがチェハに辛く当たることはなかったと思います。チェハを手元に置くと決めた時に、親としてできるだけのことはしてやろうと決意していますから、ピアノのレッスン代も学校の授業料も、チスクの言うままに出してやったでしょうし、応援もしたはずです。ただ亡くした息子の記憶があるがために、チェハを心から可愛いと思えなかったし、チェハの方もそんなミョンフンの思いを感じていたかもしれません。

彼らの関係が虚偽に基づくものだったことも影響しているかもしれません。世間の人に実子が亡くなって養子を迎えたんですよ、と公表していれば、もう少し自然な関係になれたかもしれませんが、お互いに実の親子のふりをしなければならなかった窮屈さもあったのかもしれません。

皆さんは彼らの関係をどのようにご覧になりましたか?どんなことでもお聞かせください。また15年間に3人に起こったエピソード(例えば、家族旅行とかチェハと両親の意見が対立したこととか、コンクール前の一家の様子とか)何でもOKですので、思いつかれたことをお寄せください。よろしくお願いします。

mkm
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☆この後のストーリーのおおまかな組み立て

「出会ってから、お互いに気が合うことを発見した2人は一緒に過ごすことが増えます。

2人が共通して持つ過去の辛い記憶だけではなく、一緒にいて安心できる、相手のことを信用できる、と言う気持ちをそれぞれが持っていたはずです。

いろいろな話をする中で、2人ともピアノを習っていることがわかって、一緒に演奏を楽しむこともあったでしょうね。

また元気盛りの男の子ですから、校庭や公園でサッカーボールを蹴り合ったりすることもあったかもしれません。(これくらいならチスクさんもうるさく言わないでしょう。卓球なんかもいいかな、と思いましたが、これは台とラケットとボールがいりますから、サッカーの方が手軽ですよね)。チスクさんに隠れてたまにはフィリップとバスケットもやったかもしれません。

フィリップと付き合う中で、チェハは自分の本当の名前や韓国でのことは隠していましたが、それ以外ではフィリップに対して誠実であったと思います。そして2人が出会ってからフィリップがピアノを諦めるまでの間に、何かの「事件」があってその時チェハはフィリップを助けます。具体的にどんな事件にするかはまだ考えていませんが、それがきっかけでフィリップはチェハがどれほど自分を大事に思っていてくれるかを知ることになり、2人は本当に強い絆で結ばれることになるのです。

コンクールでチェハに負け、ピアノを止めてマネージャーに転身したフィリップはチェハのために一生懸命働きます。チェハと演奏旅行にも行ったでしょうし、プライベートな旅行にも行ったかもしれません。(勿論、フィリップは女の子とのデートの時間も大切にしたはずですが)。

ピアニストとしての活動を始めると、チェハにマスコミから取材の申し込みが殺到するようになります。そのことでチェハは随分と気難しくなってしまうような気がします。「プライベートな質問はお断りします」と、きっぱり拒否するたびにマスコミは彼に興味を持ちますし、そっとしておいてはくれません。フィリップはチェハのマスコミ嫌いに手を焼くこともあったかもしれませんね。

でもチェハの演奏は素晴らしく、コンサートはいつも大盛況。

そして5年ほどたったある日、韓国のグリーンミュージックのソン・イナから電話を受けるのです。

かなりアバウトな流れが見えてきました。「○○を追加したら」というものがあったらアドバイスお願いします。

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「SPRIMG WALTZ 2」 最後に第3回アンケートのお題もあります。

SPRIMG WALTZ 2  -ドラマで描かれなかった空白の15年-

「チェハとフィリップの出会い」


 チェハは十五歳になった。最近、急に背が伸びてきてミョンフンと肩を並べるほどのほっそりした少年になった。二年間の身を削るような努力の甲斐あって、ドイツ語も英語も日常会話は不自由なくこなせるようになっていたし、学科の勉強では始めの遅れが響いて相変わらず苦労していたが、ピアノでは目覚ましい進歩を見せていた。
 この二年間スホを消してチェハとして生きるため、彼は必死に努力を続けてきた。勉強やピアノだけでなく、行儀作法や言葉づかいもきちんと身につけられるよう頑張った。そのお陰でスホができなかったことを、たくさん獲得することはできた。でも、やはり自分の中のスホを消すことはできなかった。新しく身につけたことは、スホという「芯」の上に積み重ねられたものだった。どんなに頑張ってもその「芯」とチェハとなった新しい自分とが混ざり合って一つになることはなかったし、どんなに忘れたくともスホとしての記憶は彼の心の中にしっかりと焼きついていて、それが絶えず彼を苦しめていた。自分を捨てウニョンの手術代を盗んで逃げた実父チョンテ。その父のせいで命を落としたウニョンの母。一人寂しく死なせてしまったウニョン。彼らのことを思うたびにチェハは罪悪感や後悔の念に苛まれた。毎晩枕を濡らすことはなくなっていたが、それでも時々突然胸の奥からこみ上げてくる思いに、チェハは声を殺してむせび泣いた。オーストリアに来た当初は言葉が話せなかった上、チェハとして他人とどう関わったらよいのかわからなかったから彼には友だちがいなかったが、それは二年たった今も変わらなかった。「僕にはウニョンしかいなかったんだ」と、チェハは思った。自分の人生の中で本当に幸せだったと言えるのは、ウニョンと過ごした青山島での日々だけだった。それまでの荒んだ生活の中で冷たく尖ってしまった自分の心を溶かしてくれた陽だまりのような女の子。そのウニョンを失って、自分はまた冬の世界に逆戻りしてしまったような気がしていた。
 「自分は一体何者なのだろう?」と、チェハはこの数ヶ月よく考えた。ウニョンを悲しませた自分が許せず、スホを殺してチェハとして生きようと決意したが、スホは今も間違いなく自分の中に生きていた。しかしドイツ語や英語を操り、ピアノの練習に励み、両親に従順な自分はどう考えてもスホではなかった。これから自分はどんな人間になっていくのだろう?
 自分の前に漠とした大きな世界が広がっているのをチェハは感じていた。そこにこれから自分はどんな道をつけていくのだろうか。彼はしばしば不安と恐怖に襲われた。嘘つきで自分勝手な博打うちの息子だった自分が、自分から望んだわけではないのにこうして裕福な外交官の一人息子になっている運命の不思議をチェハは度々考えた。人を疑うことを知らず、日々懸命に生きていたウニョン母子が何一つ報われることなくこの世での生を絶たれたというのに、罪にまみれた自分が何故こうして生かされているのだろう。チェハは日曜ごとに両親に連れられて教会に通っていたが、神父の説教を聞きながらいつも疑問に思った。彼の中に確たる信仰心が芽生えていた訳ではなかったが、神父の言うとおりだとすれば自分の今の生活もまた神の思し召しということなのだろうか。人は皆、罪深いものだと言うが、自分やチョンテは特別大罪人じゃないか。それなのに…。それとも罪の意識に苦しみながら生きることが、自分には不釣合いな「ユン・ジェハ」として生きることが、自分に与えられた罰なのだろうか?
 いくら考えてもわからなかった。ただチェハが一つだけ心に決めたことがあった。それは、どんなに苦しくとも自分の罪から逃げるまい、背を向けるまい、ということだった。自分が自分の罪から逃げてしまったら、ウニョンに申し訳なさすぎる。十五歳の少年らしい真直ぐな心で、チェハはそう思っていた。

 新学期が始まると同時にチェハは転校した。それまで住んでいた家は古くて何かと使い勝手が悪く、チスクが閉口していたため手頃な家を探していたのだが、ようやくミョンフンにもチスクにも気に入る家が見つかったため、引越しをしたのである。それまでの学校にも通えなくはなかったが、近くに評判の良い学校があったのでチスクはそちらへの転校を勧め、チェハもそれに従ったのだった。
 もともと無口なチェハは、自分から他のクラスメイトに話しかける方ではなかったが、転校生ということで声をかけてくれる生徒は何人かいた。その子たちに問われるままに、それまで通っていた学校のこと、韓国人であること、父が外交官でオーストリアに来る前にはカナダに住んでいたこと、などを話した。「君、韓国人なの?あそこにもいるぜ、半分君のお仲間になる奴が。」そう言われて指差された方を見てみると、一人の少年が窓際に佇んでいた。オーストリア人のようだったが、どこかアジア人の面影も持つその少年は、いくぶん小柄でどこか弱々しかった。「半分お仲間」という言葉の意味がよく飲み込めないまま話はそこで終わったのだが、その日の授業が終わって帰ろうとすると、その少年がチェハに近づいて来て、「僕はフィリップ。よろしく。」と言った。チェハも「よろしく」と求められるままに握手を交わした。その時、「おーい、フィリップ。俺の代わりに掃除当番やってくれよ!」という声がした。「あ、いいよ。じゃ、またね、チェハ。」フィリップはそう言うと、ニコニコ笑って走って行った。
 次の日も、その次の日もフィリップはチェハに話しかけてきた。たいした話をするわけではなく朝の挨拶とその日の授業に出てくる教師のことや、クラスメイトの噂話くらいだったが、明るそうに笑うその眼差しの奥に、おどおどした弱さが時折見られることにチェハは気付いていた。気をつけて見ていると、フィリップはどうやら一部の生徒に嫌がらせを受けているようだった。教科書を忘れてきた生徒に教科書を取られ、その子の代わりに叱られても文句も言わず、「いいよ、いいよ」とニコニコしていた。掃除当番を押し付けられても、宿題を見せろと言われても、買ったばかりの学用品を「貸してくれ」と取り上げられても断ることはなかった。そのくせ皆から好かれたり頼りにされたりしているかといえば決してそうではなく、むしろ「何を要求しても絶対に断らない奴」と便利に利用されているようだった。「バカだなあ、あいつ。何を無理してるんだろう。」チェハはそう思った。いつもクラスメイトの顔色をうかがっているフィリップはひどく淋しそうに見えた。スホだった頃の自分が、アメリカ帰りという嘘がばれた上、父チョンテがウニョンの手術代を盗んで逃げて、学校でいじめられた時のことをチェハは思い出したが、フィリップは何かまずいことをやったという訳でもなさそうだった。
 「どうして断らないの?本当は嫌なんだろう?」と、周りに他の生徒がいない時にチェハは尋ねてみたが、「別に。平気だよ。」とフィリップは少しバツが悪そうに答えると足早に立ち去った。それからもフィリップへの嫌がらせは止むことがなく、チェハは気になりながらも「平気だよ」と言ったフィリップの言葉に口を出すのも憚られ、黙って様子を見ていた。しかしある日、一人の生徒が「フィリップ、金貸してくれよ!」と言った時にはさすがに黙っていられなくなって、チェハは立ち上がった。「いい加減にしろよ!貸してくれって言ったって、どうぜ返す気ないんだろ?そんなの泥棒と同じじゃないか!」日頃無口なチェハのあまりの剣幕に、その少年は驚いたように、「そんなことないさ。ちゃんと返すよ。」と口ごもりながら立ち去った。フィリップはあっけに取られて二人の様子を見ていたが、少年が教室から出て行くと、そっとチェハに近付いて、「ありがとう、チェハ。でもいいんだ。僕のことは放っておいて。」と言った。「どうして?あんなことされててうれしいのか?嫌なことははっきり言わなきゃ。」チェハは納得がいかなかった。「無理するなよ。君は本当はどうしたいの?」フィリップは困ったような怒ったような表情を浮かべて言った。「いいんだってば、本当に。こうするしかないんだから。君にはわからないよ、僕の気持ちは!!」そう言ってフィリップも出て行った。チェハにはフィリップが怒る理由がわからなかった。
 翌日、フィリップはチェハに話しかけてこなかったが、授業が終わって帰ろうとした時、フィリップはチェハを呼び止めた。「チェハ、昨日はごめん。話したいことがあるんだけど、いいかい?」2人は学校の近くの公園に行って、ベンチに腰を下ろした。
「僕はね、寄宿舎で暮らしているんだ。もう家には帰れないから、寄宿舎の友だちに嫌われたら困るんだ。少しくらい嫌なことがあっても言うこと聞くしかないんだよ。」
「どういうこと?」
「僕の母さんは僕が七つの時に病気で死んじゃったんだ。それからは父さんと二人で暮らしてた。近くにおばあちゃんもいてしょっちゅう会えたし、おばあちゃんは僕を可愛がってくれたけど、三年前に父さんが再婚したんだ。僕は新しい母さんなんか来てほしくなかったけど、おばあちゃんは父さんも一人で寂しいんだって言った。僕がいてもだめなんだって。一緒に暮らしてくれる大人のパートナーが父さんには必要なんだって。だから僕は我慢しようと思ったけど、新しい母さんとはやっぱりうまくいかなかった。赤ん坊が生まれることになって、僕の面倒まで見られないってことになって、僕は寄宿舎に入れられた。もう帰る家はないんだ。友だちに嫌われたくなくて頑張ったんだけど、このとおりだよ。僕のこと、かばってくれる上級生がいなくなってから特にね。でも、いいんだ。みんなの頼みを断ったら、僕はもっとひどくいじめられるから。今の方がきっといいんだ。だから心配しないで。」
「でも…、」
と、チェハは口を開いた。
「お父さんは本当のお父さんなんだろう? お父さんは君のことかわいくないの?」
「さあ、どうかな? たまに会いには来るけど…。あのね、僕の母さんは韓国人なんだ。でも母さんの父さん、つまり韓国のおじいちゃんが父さんと母さんの結婚に大反対でどうしても許してもらえなかったから、父さんと母さんはオーストリアに来て結婚して僕が生まれたんだけど、慣れない国での生活はやっぱり大変だったみたいで、母さんは病気になっちゃったんだ。それで三人で韓国に行ったんだけど、父さんはおじいちゃんの家に入れてもらえなくて、母さんの看病どころかお見舞いにもあまり来れなくて、母さんが亡くなった時もお葬式に出られなかった。母さんが元気だった頃は、僕たちは本当に幸せだったし、父さんと母さんは本当に仲良かったんだよ。でも父さん、最後は母さんと引き離されてしまって、父さんも辛かったんだと思う。それから父さんは韓国が嫌いになったみたい。母さんのこと聞いても何も教えてくれないんだ。韓国のこと、母さんのこと、思い出したくないんだろうな。僕は母さんのことあまり覚えてないから、どんなことでも教えてほしいのに。
父さんは今の家族といるのが幸せなんだよ。弟が生まれて一度会いに行ったら、父さんも新しい母さんも弟に夢中だった。僕のことなんか忘れちゃったみたい。あーあ、僕も韓国のこと忘れてしまいたいよ。韓国のおじいちゃん、僕のこと嫌ってた。僕の顔を見ようともしなかったんだ。」
 フィリップにかける言葉が見つからず、チェハは黙ってフィリップの手を取った。父に捨てられたスホと、寄宿舎に入れられたフィリップが心の中で重なって、チェハは涙ぐんだままフィリップを見つめた。
「ありがとう、チェハ。誰かにこんな話したの初めてだよ。君ならわかってくれそうな気がしたんだ。」
 チェハは頷いた。
「チェハ、僕たち友だちになれるよね。」
 二人はしっかりと握手した。

 それから二人は休み時間は一緒に過ごすようになった。転校してきたばかりではあったが、チェハは無口なくせに不思議な存在感があり、そのチェハがフィリップと一緒にいるようになったことでフィリップへの嫌がらせもなくなっていった。精神的に安定するようになったフィリップは生来の明るさを取り戻し、その明るさにチェハが癒されることもしばしばだった。   (つづく)

○       ○       ○       ○      ○
 ここまでが私が今書ける精一杯です。(皆さんにご相談したフィリップの両親のことは、追々明らかになる、ということでご了解ください。それから学校のことも具体的に決められなかったので、どんな学校かは現段階ではゴマカシテあります。)
 フィリップへのいじめ、嫌がらせ。具体的にもっとこんなものも入れたら、ということがありましたら教えてください。その他、何でもご意見、アドバイス等お寄せください。

 で、今週のお題です。
「この後、二人はどんな学校生活を送ったでしょう?」
①具体的なエピソード → たくさん考えていただけたら助かります。(フィリップもピアノに励んでいることは紹介せねばなりません)。
②ウィーン国立音楽大学に入るのは、二人同時? それともフィリップが一年先?
③ずっと二人は良き友、良きライバルとして切磋琢磨しあいます。そして、大学卒業の頃に参加したコンクールでチェハが優勝。フィリップはピアニストへの道を断念しますが、どんなコンクールにしましょう? 国際コンクールの方がハクがつきますよね。何か実際にはないけれど、ありそうなコンクール、作ってください!!
④フィリップの女性遍歴も必要ですね。

 フィリップとの関わりに加えて、チェハの両親との関わり(次回のお題になります)、チェハのアイデンティティーの確立が絡みながら、物語が進むことになると思いますが、ここから先については何も思い浮かびませんので、また良いお知恵をたくさん出してください。
 よろしくお願いします。  mkm
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アンケートをメールでも受け付けます。
こちらまでお送りください。

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もちろんコメント欄にもどんどん書いてください。
よろしくお願いいたします。
                           Riebon

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第2回アンケート「フィリップの生い立ち」

今週のお題 その2「フィリップの生い立ち」

フィリップの生い立ちを考えるには、まず「両親の出会いから」なんですが、フィリップの父はオーストリア人、母は韓国安東市の旧家の娘。

この2人がどこでどうやって出会ったのか?
ソウルの人なら外国人と知り合うチャンスもそこそこあったかもしれませんが、安東は特急列車でソウルから4時間離れた地方都市。

①何の手がかりもありませんので、NHK版ではカットされていましたが、オリジナル版第18話・フィリップがウニョンを美術館に連れて行ったシーンでのセリフ「僕のママは絵を描いてたんだ」を頂いて、フィリップの母が絵の勉強にヨーロッパ(またはアメリカ)に留学して、そこでフィリップの父と出会ったことにでもしようかと考えました。(そもそもフィリップのお父さんって何をしてる人でしょう?)

あの厳しくて頑固そうなフィリップ母の父親。娘の留学を許さず、この段階で勘当したか。留学は許したがフィリップの父との結婚を許さず、勘当したか?

②または安東は韓国の儒教文化の中心地だそうですので、もしかしたらフィリップ父が儒教文化、韓国(または広く東アジア)の歴史や文化を研究するため安東に来ていてフィリップ母と知り合って結婚したいと思ったが、父親の許しが得られずやむを得ず駆け落ちでもしたのでしょうか?

フィリップの母は、厳しい父や伝統のある故郷の街を嫌って自由な世界に飛び出して行ったのか? 父のことも故郷のことも大好きだったけれど、愛する人と別れられなくて泣く泣く故郷を後にしたのか?
どちらが、ありそうな話でしょうか? また他に考えられるシチュエーションは?

フィリップ誕生から母の死まで
フィリップの母が安東で亡くなったのは間違いないと思われますが、それまでフィリップはどこで生まれて育ったのでしょう?
①安東を離れて韓国のどこかで暮らしていた。
②オーストリアで暮らしていた。
いずれの場合もフィリップの母が病気になって療養のために故郷に帰った。
フィリップ母の父親は、病気になって戻ってきた娘の療養は黙認しますが、オーストリア人の血を引くフィリップのことは認められず辛く当たった。
(「愛してるっ!!韓国ドラマ」の「春のワルツ」特集号に”ハーフに対して否定的だった韓国の人の心をダニエル・へニーが捉えた”と書いてありました。今でさえこうなんだから、フィリップが生まれた頃の地方都市ではもっとこういう感覚は強かったでしょうね。)

その後(全く私の想像です)
母の死後、フィリップは父と共にオーストリアに帰ってそこで暮らします。
大好きな母を早くに亡くしたこと、母方の祖父に嫌われていたことは幼いフィリップの心に大きな傷を残していたと思われます。

また心から愛していた妻の父に認められなかったフィリップの父も深く傷ついていたはずです。
(もしかしたら、お葬式に出ることもお墓参りも許されなかったかもしれません)。
第17話で、父に電話したフィリップが「新しい奥さんは元気?」と尋ねていますが、この奥さんは2人目じゃなかったかもしれません。
フィリップの父は何度か再婚するものの、フィリップと新しい妻との板ばさみとなって苦労したかもしれません。
亡き母を慕うフィリップが新しい母になつくはずもなく、フィリップも孤独な少年時代を過ごしたのではないでしょうか?
そして家庭に居場所が見つけられなかったから、早くから一人暮らしをしていたのではないでしょうか?(下線部は第11話のチスクの台詞)
心の安らぎを求めて(恐らくは母の面影を求めて)、次々と女の子と付き合っていたのではないではないでしょうか?

勿論、フィリップの父はフィリップの気持ちを考えて、しばらくは再婚しないでフィリップと2人で暮らしたかもしれません。
再婚したい相手と出会ったのがちょうどフィリップの思春期で、フィリップはそれに強く反発して、学校の友だちともうまくいかなくなったかもしれません。

ウ-ン…。

気になること
フィリップの両親が結婚したのは30年ほど前のことだと思われます。
30年前の日本なら女性が1人で留学するのもそれほど珍しくはなかったと思いますが、韓国ではどうだったのでしょうね。
その当時の韓国の実情はわかりません。また韓国では日本以上に女性の地位が低かったはずですから、女性が1人で留学というのは相当に難しかったかもしれません。
このあたりの事情がわかると助かるのですが、どなたか韓国人のお友だちがいらっしゃったり、韓国の事情に詳しいお友だちがいらっしゃったらお尋ねいただけませんか?
(尤もどこまで気にするか、も問題ではあります。ドラマ自体、所々”?”なところがありますしね。)

フィリップの両親については、ほとんど手がかりはありませんから、その分自由に想像(妄想?)できます。オリジナル版の設定も無視していただいて構いませんから、面白いアイデアを自由にだしてくださいね。よろしくお願いします。

mkm
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コメント欄には書くのが恥ずかしいという方は
こちらにメールでアンケートにお答えください。
なお、頂いたメールアドレスは悪用いたしませんので、ご安心を!

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第1回アンケート「オーストリアの音楽学校」

みなさま、ゴールデンウィークも無事終わり、いかがお過ごしでしょうか?

さて予告どおり、mkmさまからのアンケートを今日から開始します!

アンケートのお答えは、メールにて受け付けます。
(もちろんコメント欄でも構いませんよ。)

アンケートのあて先:lovedoyoung0414@yahoo.co.jp

では、以下はmkmさまからのアンケート本文です。
はじまりはじまり~!
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第1回アンケート「オーストリアの音楽学校」

チェハはオーストリアではどんな学校で音楽を学んだのでしょうか? 

インターネットで少しだけ調べてみると、ウィーン国立音楽大学というのが出てきました。大学レベルはここかな?と思いましたが、12,3歳でピアノを始めたチェハがいきなりここに入るとは思えません。
ドラマの中では、フィリップが「君が来た時、僕はいじめられっこ」と話していました。2人が出会ったのは15歳の時という設定になっています。なので、フィリップが通っていた学校にチェハが転校、または編入したのではないでしょうか?
2年間懸命の努力を続けて目覚ましく腕をあげたチェハが、音楽学校に入り、そこでフィリップに出会ったのでは?と考えました。さて、どんな学校でしょうか?
日本では、プロの演奏家を目指す生徒は音楽大学付属高校とか、普通の高校に併設されている音楽科に進むことがありますが、オーストリアで高校レベルの音楽学校ってあるのでしょうか?
空いた時間に調べていただけたら大変助かります。よろしくお願いします。

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mkmさまよりアンケートのお願い

「SPRING WALTZ - 空白の15年」についてのアンケートのお願い
次週からアンケートを実施させていただきま~す!

mkmさまが執筆された「SPRING WALTZ - 空白の15年」は、みなさまお読みになられたでしょうか? 読まれた方のご感想としては、「早く続きが読みたい」「このままmkmさまに執筆をお願いしたい」という意見が多かったです。かくいう私も「この続きを書けるのはmkmさましかいない!」と確信しております。

そこで、mkmさまにご相談したところ、以下のようなメールをいただきました。
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やっぱり「続き」はかなり大変な作業になると思います。「出だし」部分は1年足らずの間の話ですが、ここから先は14年ほどあると思いますし、手がかりは少ないし、想像もつかない部分がかなり多いですから。

「頑張って書きます!」、とお約束することはやはりできないんですが、この物語に興味をお持ちの方々が寄ってたかって助けてくださるならば、”だめもと”でやるだけやってみてもいいかな?と今は思っています。

ここから先は、チェハとフィリップの関わりが大きなウエイトを占めると思われるのですが、話の内容を考える上で、私が疑問に思うことが幾つかあります。例えば、

① フィリップの生い立ち
② フィリップとチェハの出会い
③ フィリップとチェハが親友になった理由
④ チェハがチェハとしてのアイデンティティーをどのように確立していったか?
⑤ その後のチェハとミョンフン、チスクとの関係
⑥ オーストリアの音楽学校について
(例えば、イギリスでは能力があれば小学生でも大学に飛び級入学できたりするようですが、オーストリアの音楽学校も力のある人なら年齢・学歴を問わず入れてくれるんでしょうか?)
⑦素晴らしい指導者との出会い


皆さんと相談するなかで、一部だけでも書いてくださる方がでてきたら有り難いし、最終的に私がまとめるにしても、過程でいろいろなアイデアを出し合うことでも「共同執筆」にはなるのでは?と思います。
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とのことでした。

そこでみなさまにアンケートを実施していきたいと思います。
ゴールデンウィーク明けの5月7日から、上記①から⑦までのお題で1週間に1度アンケートを実施していきたいと思います。

アンケートに答えていただく場所は、コメント欄ではなく、メールで受付ます。(アドレスは追って発表します。)公開の場では恥ずかしくて自由に意見を述べられない方でも、非公開のメールなら気軽に意見を述べやすいでしょう? メールを送ってくださったみなさまのアドレスは大切な個人情報として取り扱いに充分気を付け、他に情報が漏れることもなく、変なメールが送られてくることもありませんとお約束いたします。私から「確かにメールを受信しました」とだけお返事させていただきます。

それではみなさま、次週からのアンケート、お楽しみにお待ちください。
                        管理人Riebon

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「SPRING WALTZ-ドラマで描かれなかった空白の15年」改訂版 by mkmさま

SPRING WALTZ  -ドラマで描かれなかった空白の15年-

 スホはミョンフン、チスクと共にカナダの地に降り立った。空港内の案内表示にハングルなどあろうはずもなく、右も左もわからなかった。チスクがスホの手を片時も離さず、何かと世話を焼いてくれるので言われたとおりにしていればよいのだが、それでも青い目の入国審査官にじっと見つめられて、スホはすっかり怖気づいてしまった。
「さあ、チェハや。お家に帰りましょう。」とタクシーに乗せられ街に入ると、そこは全くの別世界だった。看板や標識は全部横文字だし、街路樹も韓国では見たことのないものだった。空の色も違っていた。道行く人は韓国ではあまり見かけなかった外国人ばかり。タクシーの運転手とミョンフンが話す言葉は、スホにはさっぱりわからなかった。何もかもが韓国とは違っていた。
 家に着いて荷物を降ろしていると、スホはいきなり誰かに抱きつかれた。それはスホと同じ年頃のカナダ人の男の子だったが、その子がニコニコしながら早口で話す言葉も全くわからず、返事もできず、スホはただ途方に暮れた。ミョンフンがその子に何か耳打ちしてくれて、男の子は「バイバイ!」と手を振って帰って行った。その子はチェハと仲の良かった友だちだと後になって知ったが、その時は知る由もなく、訳が分からず狐につままれた様な気持ちでスホは家の中へと入った。

 スホは生前のチェハが使っていた部屋を与えられた。ベッドに机、タンスに本棚が置いてあり、本棚には韓国語や英語の本が詰まっていた。一人になってスホはようやく一息つくことができたが、それでもまだ落ち着かなかった。その部屋はスホがそれまでに泊まったどんな部屋よりも広かったし、部屋の造りも韓国とは違っていた。ウニョンから途方もなく遠く離れてしまったのだとスホは思った。ウニョンの手術は無事に終わったのだろうか? ウニョンはもう目を覚ましたのだろうか? 手術に付き添ってやれなかったことを怒ってるんじゃないだろうか? スホはウニョンにもらった虹の貝殻をそっと取り出して胸に抱いた。これをくれた時のウニョンの笑顔やスホの腕にニコニコマークを描いて「お兄ちゃんが不良でも嘘つきでもアメリカ帰りじゃなくてもかまわない。お兄ちゃんが私のお兄ちゃんならそれでいい」と言った時のウニョンの顔が浮かんできた。「ウニョン、待ってて。僕はすぐに帰るから。だから必ず生きてて。」スホは祈るように呟いた。その時、「チェハや、ごはんよ。いらっしゃい。」とチスクが呼びに来た。スホは慌てて虹の貝殻を隠して、チスクに連れられ食堂に向かった。

 スホがミョンフン達と過ごすようになって一週間ほどが過ぎた。「チェハ」と呼ばれることも、ミョンフンとチスクを「お父さん、お母さん」と呼ぶこともしっくりこなかった。他人のお面を被って生活しているような奇妙な感覚をスホはずっと抱いていた。英語がまったくわからないので学校に行くことはできず、一日の大半をチスクと二人で過ごしていた。チスクはスホを自分の手の届く所に置いて世話を焼くのがうれしくてならないように、食べる物から着る物に細々と気を配り、早く学校に行けるようにと英語の特訓までしてくれた。
 
チスクが元気を取り戻したことに、ミョンフンはひとまず安堵していた。まだ多少やつれてはいたが、目には光が宿り、生き生きしていた。しかし、彼はチスクのように新しい息子に夢中になることはできなかった。スホを見るたびに亡くなった息子を思い出した。   彼らの一人息子はラフティング中の事故で亡くなった。息子をラフティングに誘ったのは彼自身だった。日頃からチスクが何から何まで息子の世話を焼き、自分の思い通りにさせていることが気になっていたが、ピアノだけでなく何かスポーツもさせてみては、と提案しても、「手にケガをするとピアノが弾けなくなるから」と、妻は頑として受け付けなかった。キャッチボールすら許されなかった。そんなある日、テレビで紹介されたラフティングにチェハが興味を示し、「やってみたい」と目を輝かせた。戸外で日の光を浴び、風に吹かれることも子どもには大切だから、いろんな体験をすることが人間の幅を広げるから、と渋るチスクを二人がかりで説き伏せて、ミョンフンとチェハは同じ船に乗って川を下ったのだった。初めての体験にチェハは大喜びだった。水しぶきを浴びてははしゃぎ声をあげ、船の予想外の動きに驚きながらもそのスリルを存分に味わい、「すごいね、お父さん。すごいね!!」と声をあげていたのだ。ところが…。突然、船が大きな岩にぶつかってバランスを崩し、乗っていた人は皆、川の中に投げ出された。そしてチェハは運悪く岩で頭を強打したのだ。ミョンフンも一度は水に沈んだが、岸から伸びていた枝につかまって助かった。しかし、チェハは病院に運ばれたものの、懸命の手当ての甲斐なく一度も意識を取り戻さずに亡くなってしまった。
どんなに悔やんでも悔やみきれるものではなかった。何故、自分ではなく歳若い息子を神は召されたのか。代われるものなら代わってやりたかった。自分も息子のそばに行きたかった。これまで親としての愛をすべて注いで育ててきた一人息子なのだ。いつも明るく優しい息子だった。心から愛しかわいがり、息子もまた父である自分を慕ってくれた。かけがえのない息子だった。でも自分が息子の後を追ってしまったら、妻も間違いなく生きてはいまい。実際、チェハが事故に遭ってからのチスクの取り乱し方は尋常ではなく、チェハが亡くなったその日にチェハの枕元で手首を切ったのである。発見が早かったので大事には至らなかったが、とても共にチェハの葬儀を行える状態ではなかった。まずはチスクの気持ちを落ち着け、チェハの死を受け入れられるようにしなくては。そう考えたミョンフンはチェハの死を伏せたまま密かに息子を荼毘に付し、職場には「意識を取り戻した息子の精神的ショックを癒すため一時帰国したい」と偽りの休暇願を出した。そして退院した妻と共に韓国に戻ったのだが、ソウルに着いたその日にチスクは再び手首を切った。妻を病院に運び込み、何とか一命をとりとめたものの、ミョンフンは身も心も疲れ果ててしまった。妻を立ち直らせることはできないのだろうか、という絶望感が彼を襲っていた。そんな時、死んだ息子に生き写しの少年が妻の病室に迷い込んできた。妻は息子が戻ってきたのだと信じ込み、その少年を離そうとしなかった。ミョンフンは「少しの間だけ」と約束し、その少年の望みを叶えてやって、自分の子どもとして連れ帰ったのだった。
「しばらくはチスクの好きなようにさせてやろう」とミョンフンは考えていた。しかし、元気を取り戻した妻の姿に安堵を覚えながらも、亡くした息子への申し訳なさが消える訳はなかった。それどころか実の息子のことを忘れたように連れてきた子どもの世話を焼く妻を見ると、息子にすまないと思う気持ちは一層強くなった。目の前にいる子どもは顔かたちこそ我が子に生き写しだが、「お父さん!」と自分に飛びついてきた息子ではなかった。その日の出来事を楽しそうに報告してくれた息子ではなかった。チスクとは正反対に、ミョンフンはスホを見る度に、自分の子どもがもうこの世にはいないという事実を突きつけられ、胸をかきむしられるような痛みを覚えた。そして、その悲しみを妻と分かち合えないことが、ミョンフンの孤独を一層深いものとしていた。

そんなある日、ミョンフンは上司に呼ばれた。
「君、すまないがオーストリアに行ってくれないか」
「は? オーストリアですか?」
「ウィーンの大使館にいる君の同期の朴君が急病で緊急帰国することになって、人手が足りないんだ。経験や実績から考えると君しか適任者がいないんだよ。息子さんの事故からまだあまり日が経っていないし、また別の国にというのも大変なことだとは思うが、何とか考えてもらえないだろうか。」
「わかりました。帰って家内と相談してみます。」

形の上では返事は保留としたが、ミョンフンはこの話に飛びつきたい思いだった。オーストリアにチェハのことを知っている韓国人駐在員はいなかったので、“替え玉”が発覚する心配はなかった。近くに住む同僚に「最近、チェハ君のピアノが聞こえませんね」と言われ、「まだ事故のショックが残っているみたいで…」と話してはいたが、いつまでもごまかせるはずもなかった。チスクもこの転勤話に異存はなく、スホは二人に逆らえるはずもなく、オーストリア・ウィーンに引っ越すことになった。


ウィーンは歴史を感じさせる落ち着いた街だった。ウィーン郊外に住むことになったスホは晴れて学校に通い始めた。ドイツ語ができないだけでなく、基礎学力がほとんど身についていないので、勉強ではひどく苦労した。学校でチンプンカンプンの授業に耐えた後、家ではドイツ語、英語の個人レッスンの他、亡くなったチェハが使っていた教科書でチスクが各教科の基礎を教えてくれるので、スホは大忙しだった。しかし勉強することは面白かった。今まで知らなかったことを教わるのは、とても新鮮な喜びだった。元来スホは利口な子どもだったし、教わったことを乾いた大地が水を吸うように覚えていった。

忙しい一日が終わって、夜自分の部屋で一人になると、スホは毎晩虹の貝殻を取り出した。それは「チェハ」という偽りの仮面を脱ぎ捨て、本当の自分に戻れる貴重なひとときだった。「ウニョン、」とスホは虹の貝殻に向かって、その日の出来事を話し始めた。その日にあったこと、習ったこと、見たもの、スホにはウニョンに話したいことがたくさんあった。間違いなく自分は今外国にいて、ウニョンが今まで想像したこともないような経験をいっぱいしているのだ。ウニョンは今どうしているのだろう?手術が成功して、元気になったのだろうか…?
スホにとって、ウニョンは「かわいい妹分」というだけの存在ではなかった。ウニョンはスホのことを本当に必要としてくれたただ一人の人間だった。物心ついた時に母は既になく、父親は自分をかわいがってもくれたがいつ何時自分を置き去りにして姿をくらますかわからない、ほとんど頼りにならない男だった。友達もなく、父親すら信じられずにいたスホを、心から信じ慕ってくれたのがウニョンだった。自分は島を出てソウルに戻ることしか考えていなかったのに、ウニョンは「お兄ちゃんがずっと家にいてくれますように」と祈ってくれた。海で溺れたふりをした自分を助けようとして倒れてしまったウニョンを見た時、スホは何があってもこの子だけは裏切れない、ずっとウニョンを守って生きるんだと心に決めた。ウニョンの明るい笑顔は暖かな春の日差しのようにスホの心を温め、幸せな気持ちにしてくれた。それはスホが生まれて初めて知った、生きている喜びであり安らぎだった。だからウニョンを助けたい一心で、スホはミョンフン夫妻について来たのだ。何よりウニョンに生きていてほしかったし、自分の父親のせいで手術代ばかりか命までなくしたウニョンの母に少しでも償うためには、他に方法がなかったのだ。
韓国を出てもう一ヶ月以上経つのに、ウニョンの消息がつかめないことにスホは苛立ちを覚えていた。一度思い切ってミョンフンに尋ねてみた時には、「そうだな、近いうちに問い合わせてみよう」と答えてくれたのだが、さっぱり返事が返ってこなかった。彼らの息子の役を演じるのはチスクが元気になるまで、という約束だったが、スホの目にはチスクはもう十分元気に見えた。病院にいた時のようなうつろな表情はすっかり消え失せ、毎日生き生きと家事や自分の世話をこなしていた。
「お父さん、もうお母さんは元気になったよね。僕、もうソウルに帰ってもいいでしょ?」と昨日も尋ねてみたが、
「いや、まだまだだよ。お前がいてくれるからお母さんは元気でいられるんだ。お母さんが本当に元気になるまでには、まだまだ時間がかかるんだよ。」
「まだまだって、あとどれくらいですか?」
「さあ…、半年か一年か。」そう言うとミョンフンは部屋から出て行った。
半年か一年…。スホは気が遠くなった。ウニョンは自分を待っていてくれるだろうか?自分を許してくれるだろうか? スホは深いため息をついた。そして、「ウニョン、ごめん。必ず帰るから待ってて。」と虹の貝殻に話しかけた。

ある日、チスクはスホをピアノの前に座らせた。「さあ、弾いてごらんなさい。あなたのピアノよ。久しぶりのお稽古ね。」そう言われても弾けるはずはなく、スホは手当たり次第に両手で鍵盤を叩くしかなかった。翌日からピアノの個人レッスンも始まった。「このおばさんの息子の役をするって、こんなことまでしないといけないの?」スホはいささかうんざりしたが、チスクに逆らうことはできなかった。「おばさんが早く元気になりますように。そして早く韓国に帰れますように。」そう祈るしかなかった。

自分でも意外だったが、何とか曲らしいものが弾けるようになった頃、スホはピアノを弾くことが好きになっていた。彼は演奏を通して自分の思いを表現することを知った。楽しい曲を弾くと、ウニョンと仲良く過ごした懐かしい日々を思い出して心が浮き立ち、悲しい曲を弾くと、ウニョンに会えない寂しさ、ウニョンのためとはいえ彼女を一人病院に残してきてしまったことへの申し訳なさを幾分でも癒すことができた。スホの心の奥に秘めた誰にも明かせない思い。それを吐き出す術をやっと見つけたのだった。
いつしかスホは勉強以上の時間をピアノの練習に割くようになったが、最低限度の勉強さえしておけばチスクは何も言わなかったし、かえってスホがピアノに熱中するのを喜んでいるようだった。
ある日、スホのピアノ教師がチスクに言った。「この子は技術的にはまだまだですが、何と言うか、この子のピアノには聞く人の心に訴える何かがあります。技術は練習次第で磨けますが、これは教えてできることではありません。習い始めが遅かったのは残念ですが、これからが楽しみですね。」チスクがこれを聞いて有頂天になったのは言うまでもなく、それ以来、家で有名なピアニストのCDをかけたり、スホを度々コンサートに連れてくれるようになった。我が子をピアニストに、というのがチスクの夢だった。一度は失ったと思ったその夢がもしかしたら叶うかもしれない。その思いがチスクに途方もないエネルギーを与えた。  


ウニョンが泣いている。青山島の丘の上で、沖へと出て行く船を見て泣いている。「ウニョン、僕はここだよ!」と大声で叫んでも、その声はウニョンには届かないようだった。スホは菜の花畑を突っ切って、ウニョンの所に行こうとしたが、丘に着いた時ウニョンの姿はもうそこにはなかった。「ウニョン、ウニョンどこにいるの?」スホはウニョンを探し回った。かくれんぼした菜の花畑、お祈りの石塚、ウニョンの家、海岸。いつの間にかスホはソウルの市場に来ていた。どの店を探してもウニョンは見つからなかった。最後にウニョンの病室に飛び込んだが、そこも空だった。「ウニョ-ン!!!」と叫んだ自分の声で、スホは目を覚ました。汗びっしょりだった。最近スホはよくこの夢を見た。夢の中でウニョンはいつも泣いていた。僕はここにいるよって知らせたいのに、そしてウニョンを笑わせたいのに、探しても探してもウニョンには会えなかった。
もう夏も終わろうとしていた。ミョンフンには再三ウニョンの消息を尋ねていたが、「手紙を出したが、まだ返事が来ない」の一点張りだった。
「じゃあ、もう一度出してください。手紙が届かなかったかもしれないでしょう?そうだ、返事が来ないんだったら電話は?病院に電話をかけたらわかるでしょう?」
「お前、そんなこと言ったって、時差があるから難しいんだよ。」
「お願いだから調べてください。ウニョンは元気になったんですか?お父さん、お願いですから」
スホは必死だった。病院の住所も電話番号もわからないスホはミョンフンに頼むしかなかった。

実はミョンフンも苦しんでいた。ソウルの病院でスホを見て、調べたところ身寄りのない子どもらしかったので、とにかくチスクを救うために頼み込んで連れてきたのだが、ずっと手元において我が子として育てるつもりはなかった。チスクも落ち着けばあの少年が自分の息子でないことはわかるだろうし、氏素性のわからない子どもにいつまでも執着することはないと思っていた。ところが妻は実の息子が生きていた時と同様に連れて来た子どもを溺愛し、何から何まで世話を焼いていた。
ある日、ミョンフンはチスクと話し合った。自分がスホのことをどう考えているのか、そして最初の約束通り、そろそろ韓国に帰してやるべきだと考えていることも。ミョンフンは努めて穏やかに話したのだが、チスクは激昂した。
「何ですって?!あの子を韓国へ帰すですって?!あなたはまた私からチェハを取り上げるつもりなの?」
「チスク、落ち着きなさい。お前だってあの子が私たちの本当の息子でないことはわかってるだろう?私たちのチェハは死んだんだ。もういないんだよ。」
「だから私にはもうあの子しかいないんじゃありませんか。あの子がいなくなったら、私も生きてはいないわ。私はあの子を育てたいのよ。ちゃんと世話して教育も受けさせたいの。私たちのチェハを死なせたあなたに反対する資格はないはずよ。二度と私のチェハを取り上げないで!!」
ミョンフンは返す言葉がなかった。しかし、だからと言ってスホをこのまま我が子にする気にもなれなかった。スホは従順ではあったが、ミョンフンたちに心を開くことはなかった。何度かスホに生い立ちや両親のことを尋ねてみたが、スホはあまり自分のことは話したがらなかった。何とか聞き出せたのは、母親はいないこと、父親は決まった仕事を持たず、今もどこにいるかわからないこと、スホは小学二年で学校をやめ、ガムを売っていたこと、ウニョンとは父親の故郷で出会ったこと、父親のせいでウニョン母子にひどい迷惑をかけたので何としてもウニョンの命は助けたかったこと、ぐらいだった。この子を我が子として愛していけるかどうか、ミョンフンは自信が持てなかった。

その後もミョンフンはチスクと何度も話し合おうとしたが、チスクの返答はいつも同じで取りつく島もなかった。ミョンフンは決断を迫られた。スホもウニョンの消息をより一層気にかけるようになっており、言葉に出さなくても自分を見るスホの眼差しに、「ウニョンのこと、まだわからないんですか?」という思いをミョンフンは痛いほど感じていた。この頃にはミョンフンのもとにウニョンの手術が成功し、元気になって退院した、という知らせが届いていた。ミョンフンは考えた。チスクの気持ちを無視してスホを韓国に帰してしまえば、チスクはまた命を絶とうとするだろう。スホにウニョンが生きていることを知らせたら、この子は間違いなく韓国に帰ろうとするだろう。ミョンフンにはウニョンが元気になったことを知ったスホを自分たちの元に引きとめられるとは思えなかった。買い物に連れて行って、何でも欲しい物を買いなさい、と言っても、何一つ欲しがらない子だったからである。スホが唯一求めるもの、それはウニョンの消息だけだった。ミョンフンは家庭を失いたくなかった。そのためにはスホを手元に置くしかなかった。そしてそのためには、ウニョンの生存をスホに知らせてはならなかった。自分たちの家庭を守るために一人の少年を絶望のどん底に突き落とすことの罪深さにミョンフンは慄いた。しかし、そうしなければ妻は恐らく命を絶ってしまうのだ。妻を生かすため、この家庭を守るためだ。その代わり、スホにはできる限りのことをしてやろう。韓国に帰ってウニョンに会えたとしても、行方不明の父親に会えるかどうかはわからないし、まともな生活は望むべくもないだろうから。
そこまで決心しても、ミョンフンにはもう一つの悩みがあった。若くして命を落とした息子の身代わりを持つことへの申し訳なさであった。チスクの自殺未遂のため、息子チェハの死亡届は出されぬままだった。このままスホをチェハにしてしまうと、息子チェハの人生までもごまかしてしまうような気がした。せめて早すぎる死を悼み、きちんと弔ってやらなければ、と思ったが、チスクはそれすらも拒んだ。「私のチェハは、あの子だけよ。」もはやミョンフンにはどうすることもできなかった。選ぶ道はただ一つ。ミョンフンは深いため息をついた。季節はいつしか冬になっていた。

翌日、ミョンフンはスホを呼んだ。
「何ですか、お父さん?」
「うん、ソウルの病院から返事が届いたんだ。」
「え? ウニョンが、ウニョンのことがわかったの?ウニョンは?ウニョンは元気になったの?」
ミョンフンは大きく息を吸った。
「死んだ。ウニョンは死んだ。手術が失敗したんだ。」
「……。」
「昔のことは忘れろ。お前はもうユン・ジェハなんだ。」
スホの顔から見る見る血の気が引いていった。そして、何も言わずに部屋から飛び出して行った。
「チェハ!チェハ!」
チスクの呼ぶ声の向こう側で玄関のドアが閉まる音が聞こえた。

スホの目には何も見えなかった。ただ何かに突き動かされるように、ひた走った。走って走って、いつかスホは雪の中に倒れこんだ。
「ウニョンが、ウニョンが死ぬなんて…。」
スホの心は後悔で一杯だった。ウニョンの側を離れるんじゃなかった…。
「お兄ちゃん、手術の間、ずっと側にいてね。」そう言ったウニョンの顔が目の前に浮かんだ。あの時、自分は守れないとわかっていながら「うん」と約束し、ウニョンが眠ってからその腕にニコニコマークを描いて、彼女の病室を後にしたのだった。翌朝、やはりきちんと別れを告げたくて、タクシーを飛び降りてウニョンの病室に駆け戻ったがウニョンはもういなかった。たった一人でウニョンはどれほど心細かっただろう。手術の不安や心細さに怯え、約束を破った自分に腹を立て、恨んで死んでしまったんだ。自分がミョンフンたちについてきたのはウニョンに生きてほしいため、元気になってほしいためだったのに、結局自分は最後の最後までウニョンを苦しめ悲しませたんだ…。

どれほど時間が経っただろう。スホは後ろから誰かに抱き起こされた。ミョンフンだった。
「さあ、帰ろう。風邪を引くぞ。」ミョンフンの声は優しかった。
「……。」
「何も言わなくていいよ。お前がどんなに辛いかわかっているつもりだからね。」
「……。」
「いっそのこと、ずっと隠しておこうかとも思ったんだが、いつまでも隠せることではないから、きちんと話した方がいいと思ったんだ。どうだい、しばらくの間の約束で一緒に来てもらったんだが、このままずっと私たちのところにいては。息子を亡くした私たちと、親のないお前がこうして出会ったのも何かの縁じゃないかな。本当の息子だと思って私たちにできる限りのことはするつもりだから。それとも韓国に帰りたいかい?」
スホは黙って首を振った。自分を待つ人のいない韓国に帰りたいとは思わなかった。でも、自分がこれからどうすればいいのかわからなかった。スホは何も考えられず、雪の中に立ち尽くしていた。

その晩、スホはいつまでも寝付かれなかった。ウニョンとの思い出が次々と浮かんできた。ウニョンのお兄ちゃんとして、ずっとウニョンと一緒に生きていきたかったのに…。そのウニョンがいなくなったのなら、もう自分が生きている意味もない。それに、ウニョンをひとり寂しく死なせてしまった自分が、ここで何不自由なく生きていくなんて絶対に許せない…。「チェハになるしかない」、とスホは思った。スホには、もう生きる意味も資格もないんだ…。スホの目から、とめどなく涙が溢れた。

翌日からスホは死に物狂いでピアノの練習や勉強に打ち込むようになった。「チェハは神童って呼ばれるくらいピアノがうまかったんだ。英語も話せたし、勉強もできたんだ。もっともっと頑張らなきゃ。」チスクやミョンフンが心配してほどほどにするように言ってもスホは止めなかった。いや止められなかった。「チェハになるんだ。スホはもういない。」そんな彼の決意をミョンフンたちは知る由もなく、ただ心配しながら見守るだけだった。
チェハになる努力、それはすなわちスホを消す努力に他ならなかったが、それでも夜になるとスホは毎晩ベッドの中で涙を流した。父チョンテに何度も置き去りにされた彼は、自分がいなくなったと知った時のウニョンの気持ちがよくわかった。それだけに辛くて辛くてたまらなかった。生きてさえいてくれたら、いつか償うことができたかもしれないが、もうウニョンに会うことも謝ることもできなかった。「ウニョン、ごめんね。ごめんね…。」その思いがウニョンに届くことも、そして自分が許されることがないのもスホはわかっていたが、心の中でウニョンに呼びかけずにはいられなかった。

こうして2年の歳月が流れた。
( ↑ ということにして、そろそろフィリップにご登場いただいては? と私個人的には思っています。 By mkm)

テーマ:★韓流スター★ - ジャンル:アイドル・芸能

「春のワルツ スホからチェハへ 空白の15年」原稿到着しました!

お待たせ致しました!
このブログを始めた最初の目的、「春のワルツ スホからチェハへ成長した空白の15年」の共同執筆の冒頭を担当していただいたmkmさまから本日、原稿が到着いたしました!

予想以上の大作です!

彼女のメールから執筆にあたっての苦労話をご紹介します。

やはりミョンフンとチスクには手こずりました。特にチスク。演じたクム・ボラさん自身がチスクには共感できないとおっしゃってましたので、思い切り非常識(?)な人間にしてしまいましたが、ここも皆さんのご意見を伺いたいと思います。もともとが、かなりありえない人物なので何とでもなると言ってしまえばそれまでですが…。

みなさま、この原稿をお読みになって、ご意見をお伺いしたいと思います。また、この企画にご賛同してくださった他のメンバーの方(takoさま、けっちゃんさま、ファインさま、まゆさま)以外にも、我こそは、この続きを担当したいという方がいらっしゃいましたら、コメント欄にお願いいたします。

それではmkmさまの大作をどうぞお楽しみください!
そして、ご意見、ご感想をコメント欄にお願いいたします。
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SPRING WALTZ
      -ドラマで描かれなかった空白の15年-


 スホはミョンフン、チスクと共にカナダの地に降り立った。空港内の案内表示にハングルなどあろうはずもなく、右も左もわからなかった。チスクがスホの手を片時も離さず、何かと世話を焼いてくれるので言われたとおりにしていればよいのだが、それでも青い目の入国審査官にじっと見つめられて、スホはすっかり怖気づいてしまった。
「さあ、チェハや。お家に帰りましょう」とタクシーに乗せられ街に入ると、そこは全くの別世界だった。看板や標識は全部横文字だし、街路樹も韓国では見たことのないものだった。空の色も違っていた。道行く人は西洋人に黒人ばかり。タクシーの運転手とミョンフンが話す言葉は、スホにはさっぱりわからなかった。何もかもが韓国とは違っていた。
 家に着いて荷物を降ろしていると、スホはいきなり誰かに抱きつかれた。それはスホと同じ年頃のカナダ人の男の子だったが、その子がニコニコしながら早口で話す言葉も全くわからず、返事もできず、スホはただ途方に暮れた。ミョンフンがその子に何か耳打ちしてくれて、男の子は「バイバイ!」と手を振って帰って行った。後で聞くと、その子はチェハと仲の良かった友だちということだったが、その時は知る由もなく、訳が分からず狐につままれた様な気持ちでスホは家の中へと入った。

 スホは生前のチェハが使っていた部屋を与えられた。ベッドに机、タンスに本棚が置いてあり、本棚には韓国語や英語の本が詰まっていた。一人になってスホはようやく一息つくことができたが、それでもまだ落ち着かなかった。その部屋はスホがそれまでに泊まったどんな部屋よりも広かったし、部屋の造りも韓国とは違っていた。ウニョンから途方もなく遠く離れてしまったのだとスホは思った。ウニョンの手術は無事に終わったのだろうか? ウニョンはもう目を覚ましたのだろうか? 手術に付き添ってやれなかったことを怒ってるんじゃないだろうか? スホはウニョンにもらった虹の貝殻をそっと取り出して胸に抱いた。これをくれた時のウニョンの笑顔やスホの腕にニコニコマークを描いて「私がちゃんとハンコを押したから、お兄ちゃんは一生私のお兄ちゃんだよ」と言った時のウニョンの顔が浮かんできた。「ウニョン、待ってて。僕はすぐに帰るから。だから必ず生きてて。」スホは祈るように呟いた。その時、「チェハや、ごはんよ。いらっしゃい。」とチスクが呼びに来た。スホは慌てて虹の貝殻を隠して、チスクに連れられ食堂に向かった。

 スホがミョンフン達と過ごすようになって一週間ほどが過ぎた。「チェハ」と呼ばれることも、ミョンフンとチスクを「お父さん、お母さん」と呼ぶこともしっくりこなかった。他人のお面を被って生活しているような奇妙な感覚をスホはずっと抱いていた。英語がまったくわからないので学校に行くことはできず、一日の大半をチスクと二人で過ごしていた。チスクはスホを自分の手の届く所に置いて世話を焼くのがうれしくてならないように、食べる物から着る物に細々と気を配り、早く学校に行けるようにと英語の特訓までしてくれた。
 
チスクが元気を取り戻したことに、ミョンフンはひとまず安堵していた。まだ多少やつれてはいたが、目には光が宿り、生き生きしていた。しかし、彼はチスクのように新しい息子に夢中になることはできなかった。スホを見るたびに亡くなった息子を思い出した。   彼らの一人息子はラフティング中の事故で亡くなった。息子をラフティングに誘ったのは彼自身だった。日頃からチスクが何から何まで息子の世話を焼き、自分の思い通りにさせていることが気になっていたが、ピアノだけでなく何かスポーツもさせてみては、と提案しても、「手にケガをするとピアノが弾けなくなるから」と、妻は頑として受け付けなかった。キャッチボールすら許されなかった。そんなある日、テレビで紹介されたラフティングにチェハが興味を示し、「やってみたい」と目を輝かせた。戸外で日の光を浴び、風に吹かれることも子どもには大切だから、いろんな体験をすることが人間の幅を広げるから、と渋るチスクを二人がかりで説き伏せて、ミョンフンとチェハは同じ船に乗って川を下ったのであった。初めての体験にチェハは大喜びだった。水しぶきを浴びてははしゃぎ声をあげ、船の予想外の動きに驚きながらもそのスリルを存分に味わい、「すごいね、お父さん。すごいね!!」と声をあげていたのだ。ところが…。突然、船が大きな岩にぶつかってバランスを崩し、乗っていた人は皆、川の中に投げ出された。そしてチェハは運悪く岩で頭を強打したのだ。ミョンフンも一度は水に沈んだが、岸から伸びていた枝につかまって助かった。しかし、チェハは病院に運ばれたものの、懸命の手当ての甲斐なく一度も意識を取り戻さずに亡くなってしまった。
どんなに悔やんでも悔やみきれるものではなかった。何故、自分ではなく歳若い息子を神は召されたのか。代われるものなら代わってやりたかった。自分も息子のそばに行きたかった。これまで親としての愛をすべて注いで育ててきた一人息子なのだ。いつも明るく優しい息子だった。心から愛しかわいがり、息子もまた父である自分を慕ってくれた。かけがえのない息子だった。でも自分が息子の後を追ってしまったら、妻も間違いなく生きてはいまい。実際、チェハが事故に遭ってからのチスクの取り乱し方は尋常ではなく、チェハが亡くなったその日にチェハの枕元で手首を切ったのである。発見が早かったので大事には至らなかったが、とても共にチェハの葬儀を行える状態ではなかった。まずはチスクの気持ちを落ち着け、チェハの死を受け入れられるようにしなくては。そう考えたミョンフンはチェハの死を伏せたまま密かに息子を荼毘に付し、職場には「意識を取り戻した息子の精神的ショックを癒すため一時帰国したい」と偽りの休暇願を出した。そして退院した妻と共に韓国に戻ったのだが、ソウルに着いたその日にチスクは再び手首を切った。妻を病院に運び込み、何とか一命をとりとめたものの、ミョンフンは身も心も疲れ果ててしまった。妻を立ち直らせることはできないのだろうか、という絶望感が彼を襲っていた。そんな時、死んだ息子に生き写しの少年が妻の病室に迷い込んできた。妻は息子が戻ってきたのだと信じ込み、その少年を離そうとしなかった。ミョンフンは「少しの間だけ」と約束し、その少年の望みを叶えてやって、自分の子どもとして連れ帰ったのだった。
「しばらくはチスクの好きなようにさせてやろう」とミョンフンは考えていた。しかし、元気を取り戻した妻の姿に安堵を覚えながらも、亡くした息子への申し訳なさが消える訳はなかった。それどころか実の息子のことを忘れたように、連れてきた子どもの世話を焼く妻を見ると、息子にすまないと思う気持ちは一層強くなった。目の前にいる子どもは顔かたちこそ我が子に生き写しだが、「お父さん!」と自分に飛びついてきた息子ではなかった。その日の出来事を楽しそうに報告してくれた息子ではなかった。チスクとは正反対に、ミョンフンはスホを見る度に、自分の子どもがもうこの世にはいないという事実を突きつけられ、胸をかきむしられるような痛みを覚えた。そして、その悲しみを妻と分かち合えないことが、ミョンフンの孤独を一層深いものとしていた。

そんなある日、ミョンフンは上司に呼ばれた。
「君、すまないがオーストリアに行ってくれないか」
「は? オーストリアですか?」
「ウィーンの大使館にいる君の同期の朴君が急病で緊急帰国することになって、人手が足りないんだ。経験や実績から考えると君しか適任者がいないんだよ。息子さんの事故からまだあまり日が経っていないし、また別の国にというのも大変なことだとは思うが、何とか考えてもらえないだろうか。」
「わかりました。帰って家内と相談してみます。」

形の上では返事は保留としたが、ミョンフンはこの話に飛びつきたい思いだった。オーストリアにチェハのことを知っている韓国人駐在員はいなかったので、“替え玉”が発覚する心配はなかった。近くに住む同僚に「最近、チェハ君のピアノが聞こえませんね」と言われ、「まだ事故のショックが残っているみたいで…」と話してはいたが、いつまでもごまかせるはずもなかった。チスクもこの転勤話に異存はなく、スホは2人に逆らえるはずもなく、オーストリア・ウィーンに引っ越すことになった。


ウィーンは歴史を感じさせる落ち着いた街だった。ウィーン郊外に住むことになったスホは晴れて学校に通い始めた。ドイツ語ができないだけでなく、基礎学力がほとんど身についていないので、勉強ではひどく苦労した。学校でチンプンカンプンの授業に耐えた後、家ではドイツ語、英語の個人レッスンの他、亡くなったチェハが使っていた教科書でチスクが各教科の基礎を教えてくれるので、スホは大忙しだった。しかし勉強することは面白かった。今まで知らなかったことを教わるのは、とても新鮮な喜びだった。元来スホは利口な子どもだったし、教わったことを乾いた大地が水を吸うように覚えていった。

忙しい一日が終わって、夜自分の部屋で一人になると、スホは毎晩虹の貝殻を取り出した。それは「チェハ」という偽りの仮面を脱ぎ捨て、本当の自分に戻れる貴重なひとときだった。「ウニョン、」とスホは虹の貝殻に向かって、その日の出来事を話し始めた。その日にあったこと、習ったこと、見たもの、スホにはウニョンに話したいことがたくさんあった。間違いなく自分は今外国にいて、ウニョンが今まで想像したこともないような経験をいっぱいしているのだ。ウニョンは今どうしているのだろう?手術が成功して、元気になったのだろうか…?
スホにとって、ウニョンは「かわいい妹分」というだけの存在ではなかった。ウニョンはスホのことを本当に必要としてくれたただ1人の人間だった。物心ついた時に母は既になく、父親は自分をかわいがってもくれたがいつ何時自分を置き去りにして姿をくらますかわからない、ほとんど頼りにならない男だった。友達もなく、父親すら信じられずにいたスホを、心から信じ慕ってくれたのがウニョンだった。小石を1つ積んで「お兄ちゃんがずっと家にいてくれますように」とウニョンが祈るのを聞いた時、スホは自分の耳が信じられなかった。海で溺れたふりをした自分を助けようとして倒れてしまったウニョンを見た時、スホは何があってもこの子だけは裏切れない、ずっとウニョンを守って生きるんだと心に決めた。ウニョンの明るい笑顔は暖かな春の日差しのようにスホの心を温め、幸せな気持ちにしてくれた。それはスホが生まれて初めて知った、生きている喜びであり安らぎだった。だからウニョンを助けたい一心で、スホはミョンフン夫妻について来たのだ。何よりウニョンに生きていてほしかったし、自分の父親のせいで手術代ばかりか命までなくしたウニョンの母に少しでも償うためには、他に方法がなかったのだ。
韓国を出てもう一ヶ月以上経つのに、ウニョンの消息がつかめないことにスホは苛立ちを覚えていた。一度思い切ってミョンフンに尋ねてみた時には、「そうだな、近いうちに問い合わせてみよう」と答えてくれたのだが、さっぱり返事が返ってこなかった。彼らの息子の役を演じるのはチスクが元気になるまで、という約束だったが、スホの目にはチスクはもう十分元気に見えた。病院にいた時のようなうつろな表情はすっかり消え失せ、毎日生き生きと家事や自分の世話をこなしていた。
「お父さん、もうお母さんは元気になったよね。僕、もうソウルに帰ってもいいでしょ?」と昨日も尋ねてみたが、
「いや、まだまだだよ。お前がいてくれるからお母さんは元気でいられるんだ。お母さんが本当に元気になるまでには、まだまだ時間がかかるんだよ。」
「まだまだって、あとどれくらいですか?」
「さあ…、半年か一年か。」そう言うとミョンフンは部屋から出て行った。
半年か一年…。スホは気が遠くなった。ウニョンは自分を待っていてくれるだろうか?自分を許してくれるだろうか。スホは深いため息をついた。そして、「ウニョン、ごめん。必ず帰るから待ってて。」と虹の貝殻に話しかけた。

ある日、チスクはスホをピアノの前に座らせた。「さあ、弾いてごらんなさい。あなたのピアノよ。久しぶりのお稽古ね。」そう言われても弾けるはずはなく、スホは手当たり次第に両手で鍵盤を叩くしかなかった。翌日からピアノの個人レッスンも始まった。「このおばさんの息子の役をするって、こんなことまでしないといけないの?」スホはいささかうんざりしたが、チスクに逆らうことはできなかった。「おばさんが早く元気になりますように。そして早く韓国に帰れますように。」そう祈るしかなかった。

自分でも意外だったが、何とか曲らしいものが弾けるようになった頃、スホはピアノを弾くことが好きになっていた。彼は演奏を通して自分の思いを表現することを知った。楽しい曲を弾くと、ウニョンと仲良く過ごした懐かしい日々を思い出して心が浮き立ち、悲しい曲を弾くと、ウニョンに会えない寂しさ、ウニョンのためとはいえ彼女を1人病院に残してきてしまったことへの申し訳なさを幾分でも癒すことができた。誰にも明かすことのできない心の奥の思いを吐き出す術をやっと見つけた気がした。
いつしかスホは勉強以上の時間をピアノの練習に割くようになったが、最低限度の勉強さえしておけばチスクは何も言わなかったし、かえってスホがピアノに熱中するのを喜んでいるようだった。
ある日、スホのピアノ教師がチスクに言った。「この子は技術的にはまだまだですが、何と言うか、この子のピアノには聞く人の心に訴える何かがあります。技術は練習次第で磨けますが、これは教えてできることではありません。習い始めが遅かったのは残念ですが、これからが楽しみですね。」チスクがこれを聞いて有頂天になったのは言うまでもなく、それ以来、家で有名なピアニストのCDをかけたり、スホを度々コンサートに連れてくれるようになった。我が子をピアニストに、というのがチスクの夢だった。一度は失ったと思ったその夢がもしかしたら叶うかもしれない。その思いがチスクに途方もないエネルギーを与えた。  


ウニョンが泣いている。青山島の丘の上で、沖へと出て行く船を見て泣いている。「ウニョン、僕はここだよ!」と大声で叫んでも、その声はウニョンには届かないようだった。スホは菜の花畑を突っ切って、ウニョンの所に行こうとしたが、丘に着いた時ウニョンの姿はもうそこにはなかった。「ウニョン、ウニョンどこにいるの?」スホはウニョンを探し回った。かくれんぼした菜の花畑、お祈りの石塚、ウニョンの家、海岸。いつの間にかスホはソウルの市場に来ていた。どの店を探してもウニョンは見つからなかった。最後にウニョンの病室に飛び込んだが、そこも空だった。「ウニョ-ン!!!」と叫んだ自分の声で、スホは目を覚ました。汗びっしょりだった。最近スホはよくこの夢を見た。夢の中でウニョンはいつも泣いていた。僕はここにいるよって知らせたいのに、そしてウニョンを笑わせたいのに、探しても探してもウニョンには会えなかった。
もう夏も終わろうとしていた。ミョンフンには再三ウニョンの消息を尋ねていたが、「手紙を出したが、まだ返事が来ない」の一点張りだった。
「じゃあ、もう一度出してください。手紙が届かなかったかもしれないでしょう?そうだ、返事が来ないんだったら電話は?病院に電話をかけたらわかるでしょう?」
「お前、そんなこと言ったって、時差があるから難しいんだよ。」
「お願いだから調べてください。ウニョンは元気になったんですか?お父さん、お願いですから」
スホは必死に頼み込んだ。病院の住所も電話番号もわからないスホはミョンフンに頼むしかなかった。

実はミョンフンも苦しんでいた。ソウルの病院でスホを見て、調べたところ身寄りのない子どもらしかったので、とにかくチスクを救うために頼み込んで連れてきたのだが、ずっと手元において我が子として育てるつもりはなかった。チスクも落ち着けばあの少年が自分の息子でないことはわかるだろうし、氏素性のわからない子どもにいつまでも執着することはないと思っていた。ところが妻は実の息子が生きていた時と同様に連れて来た子どもを溺愛し、何から何まで世話を焼いていた。
ある日、ミョンフンはチスクと話し合った。自分がスホのことをどう考えているのか、そして最初の約束通り、そろそろ韓国に帰してやるべきだと考えていることも。ミョンフンは努めて穏やかに話したのだが、チスクは激昂した。
「何ですって?!あの子を韓国へ帰すですって?!あなたはまた私からチェハを取り上げるつもりなの?」
「チスク、落ち着きなさい。お前だってあの子が私たちの本当の息子でないことはわかってるだろう?私たちのチェハは死んだんだ。もういないんだよ。」
「だから私にはもうあの子しかいないんじゃありませんか。あの子がいなくなったら、私も生きてはいないわ。私はあの子を育てたいのよ。ちゃんと世話して教育も受けさせたいの。私たちのチェハを死なせたあなたに反対する資格はないはずよ。2度と私のチェハを取り上げないで!!」
ミョンフンは返す言葉がなかった。しかし、だからと言ってスホをこのまま我が子にする気にもなれなかった。スホは従順ではあったが、ミョンフンたちに心を開くことはなかった。何度かスホに生い立ちや両親のことを尋ねてみたが、スホはあまり自分のことは話したがらなかった。何とか聞き出せたのは、母親はいないこと、父親は決まった仕事を持たず、今もどこにいるかわからないこと、スホは小学2年で学校をやめ、ガムを売っていたこと、ウニョンとは父親の故郷で出会ったこと、父親のせいでウニョン母子にひどい迷惑をかけたので何としてもウニョンの命は助けたかったこと、ぐらいだった。この子を我が子として愛していけるかどうか、ミョンフンは自信が持てなかった。

その後もミョンフンはチスクと何度も話し合おうとしたが、チスクの返答はいつも同じで取りつく島もなかった。ミョンフンは決断を迫られた。スホもウニョンの消息をより一層気にかけるようになっており、言葉に出さなくても自分を見るスホの眼差しに、「ウニョンのこと、まだわからないんですか?」という思いをミョンフンは痛いほど感じていた。この頃にはミョンフンのもとにウニョンの手術が成功し、元気になって退院した、という知らせが届いていた。ミョンフンは考えた。チスクの気持ちを無視してスホを韓国に帰してしまえば、チスクはまた命を絶とうとするだろう。スホにウニョンが生きていることを知らせたら、この子は間違いなく韓国に帰ろうとするだろう。ミョンフンにはウニョンが元気になったことを知ったスホを自分たちの元に引きとめられるとは思えなかった。買い物に連れて行って、何でも欲しい物を買いなさい、と言っても、何一つ欲しがらない子だったからである。スホが唯一求めるもの、それはウニョンの消息だけだった。ミョンフンは妻を失いたくなかった。チスクと家族であり続けるためには、スホを手元に置くしかなかった。そしてそのためには、ウニョンの生存をスホに知らせてはならなかった。自分たちの家庭を守るために一人の少年を絶望のどん底に突き落とすことの罪深さにミョンフンは慄いた。しかし、そうしなければ妻は恐らく命を絶ってしまうのだ。妻を生かすため、この家庭を守るためだ。その代わり、スホにはできる限りのことをしてやろう。韓国に帰ってウニョンに会えたとしても、行方不明の父親に会えるかどうかはわからないし、まともな生活は望むべくもないだろうから。
そこまで決心しても、ミョンフンにはもう一つの悩みがあった。若くして命を落とした息子の身代わりを持つことへの申し訳なさであった。チスクの自殺未遂のため、息子チェハの死亡届は出されぬままだった。このままスホをチェハにしてしまうと、息子チェハの人生までもごまかしてしまうような気がした。せめて早すぎる死を悼み、きちんと弔ってやらなければ、と思ったが、チスクはそれすらも拒んだ。「私のチェハは、あの子だけよ」もはやミョンフンにはどうすることもできなかった。選ぶ道はただ一つ。ミョンフンは深いため息をついた。季節はいつしか冬になっていた。

翌日、ミョンフンはスホを呼んだ。
「何ですか、お父さん?」
「うん、ソウルの病院から返事が届いたんだ。」
「え? ウニョンが、ウニョンのことがわかったの?ウニョンは?ウニョンは元気になったの?」
ミョンフンは大きく息を吸った。
「ウニョンは死んだ。手術が失敗したんだ。」
「……。」
「昔のことは忘れろ。お前はもうユン・ジェハなんだ。」
スホの顔から見る見る血の気が引いていった。そして、何も言わずに部屋から飛び出して行った。
「チェハ!チェハ!」
チスクの呼ぶ声の向こう側で玄関のドアが叩きつけられるように閉まる音が聞こえた。

スホの目には何も見えなかった。ただ何かに突き動かされるように、ひた走った。走って走って、いつかスホは雪の中に倒れこんだ。
「ウニョンが、ウニョンが死ぬなんて…。」
スホの心は後悔で一杯だった。ウニョンの側を離れるんじゃなかった。
「お兄ちゃん、手術の間、ずっと側にいてね。」そう言ったウニョンの顔が目の前に浮かんだ。あの時、自分は守れないとわかっていながら「うん」と約束し、ウニョンが眠ってからその腕にニコニコマークを描いて、彼女の病室を後にしたのだった。翌朝、やはりきちんと別れを告げたくて、タクシーを飛び降りてウニョンの病室に駆け戻ったがウニョンはもういなかった。たった一人でウニョンはどれほど心細かっただろう。手術の不安や心細さに怯え、約束を破った自分に腹を立て、恨んで死んでしまったんだ。自分がミョンフンたちについてきたのはウニョンに生きてほしいため、元気になってほしいためだったのに、結局自分は最後の最後までウニョンを苦しめ悲しませたんだ…。

どれほど時間が経っただろう。スホは後ろから誰かに抱き起こされた。ミョンフンだった。
「さあ、帰ろう。風邪を引くぞ。」
「……。」
「何も言わなくていいよ。お前がどんなに辛いかわかっているつもりだからね。」
「……。」
「いっそのこと、ずっと隠しておこうかとも思ったんだが、いつまでも隠せることではないから、きちんと話した方がいいと思ったんだ。どうだい、しばらくの間の約束で一緒に来てもらったんだが、このままずっと私たちのところにいては。息子を亡くした私たちと、親のないお前がこうして出会ったのも何かの縁じゃないかな。本当の息子だと思って私たちにできる限りのことはするつもりだから。それとも韓国に帰りたいかい?」
スホは黙って首を振った。自分を待つ人のいない韓国に戻るつもりはなかった。自分に生きる喜び、幸せを教えてくれたウニョンはもういない。誰よりも大切に思っていたウニョン、自分に生きる力を与えてくれたウニョンをひとり寂しく死なせてしまった以上、自分も生きていてはいけないとスホは思った。スホがこのおじさんたちの子どもになって幸せに暮らすなんて、許されない。僕も死ぬんだ、ウニョンと一緒に。これから生きていくのはおじさんたちのチェハだ。スホはまだ混乱している心の中で思った。そして、ミョンフンについて家に入った。そしてその時ミョンフンもまた、亡き息子の面影を心の中から追い払おうとしていた。

「スホからチェハへ」共同執筆は準備中

大人気だったharumamaさまのブログ「FLOWER-SDY」が、大変残念なことに「閉鎖」されることになりました。今まで毎日楽しみにファミレスでお茶するがごとく「FLOWER-SDY」遊びに来ていたソ・ドヨン王子のファンのみなさんは、集まる場所がなくなって路頭に迷ってしまっているのでは?

私はharumamaさまのようなブログは運営できませんが、「スホからチェハへ」(仮題)の15年間のストーリーを希望者を募って共同執筆する企画!?が細々と出来つつあったのはご存知でしたでしょうか?
ただ今、mkmさまが出だし部分を執筆中です。
その他のメンバーは(って、ただ話題に加わってくださった方々なのですけど・・・了解も得ず記載します)以下の方々です。

takoさま
けっちゃんさま
ファインさま
まゆさま (話題に加わった順)

この他にも、私も加わりたい!という方は、是非この下のコメントに書いてくださいね。その他、アイデアやエピソードも受付ます!

至らないところが多々あるかと思いますが、ブログ初心者ゆえ、お許しくださいませ。
それでは、どうぞ宜しくお願いいたします。
                   2007年3月22日大安
                     Riebon

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こんにちは、ソ・ドヨンさんの応援ブログの管理人Riebonです。
ファミレスでドヨン王子についておしゃべりするように、お客様みなさまにお楽しみいただければ幸いです。ブログをファミレス、管理人の私はそのファミレスの店長と呼ばれています。

管理人へのご意見ご希望、またはご質問などがございましたら、下記アドレスまでメールを受け付けます。
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なお「SPRING WALTZ -ドラマで描かれなかった空白の15年」は、mkmさまのブログ「そよかぜおばさん」で引き続きご覧いただけます。
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